ドイツのグラスヒュッテ・オリジナルは2012年に、トゥールビヨンとふたつの異なる地域の時間を表示可能なデュアルタイム表示機能を搭載する複雑時計「グランド・コスモポリト・トゥールビヨン」を発表した。そして2015年からは、そのデュアルタイム表示機能を独立させた「セネタ・コスモポリト」を展開している。2018年には最初のステンレススティールモデルを投入。そして2020年、視認性を向上させたミッドナイトブルー文字盤の新作を発表した。
text by Mark Bernardo
グラスヒュッテ・オリジナル「セネタ・コスモポリト」
グラスヒュッテ・オリジナルといえば高品質な文字盤製造で知られたブランドだ。新しい「セネタ・コスモポリト」の文字盤もフォルツハイムにある自社の文字盤工房で製造されており、ガルバニック加工のサンレイ仕上げが施されたブルー文字盤は、グラスヒュッテ・オリジナルがそれを誇りに思うのも頷ける仕上がりだ。剣状の針やアプライドのバーインデックス、白くプリントされたその他の表示と高いコントラストを成している。針とインデックスには白のスーパールミノバが塗布されている。なお前作では針は洋梨型、インデックスはアラビア数字であった。
セネタ・コスモポリトは、センターのローカルタイム表示、6時位置の大きなスモールセコンド表示、および4時位置の象徴的な「パノラマ」デイト表示に加えて、世界を飛び回るジェットセッターたちに有益な一連の機能を有している。着用者は12時位置の第2時間帯表示によってホームタイムを知ることができる。多くのワールドタイムモデルが24カ国表示であるのに対し、セネタ・コスモポリトはより充実した35カ国のタイムゾーン表示を備える。表示は8時位置のふたつの小窓であり、夏時間(サマータイム、DST)と標準時間(スタンダードタイム、STD)を設定することができる。グリニッジ標準時(GMT)を基準に経度が15°ごとに1時間ずつ時差を刻む24のタイムゾーン表示は白で、30分ずれる8つのタイムゾーンと、45分ずれる3つのタイムゾーンはライトブルーで表示される。その表示が各タイムゾーンにある主要空港のIATAコード3文字で記されているのは旅行者にとってはうれしい設定だ。ローカルタイムの昼夜表示は9時位置のサブダイアルで行われ、ホームタイムの昼夜表示はパワーリザーブ表示と合わせて12時位置のサブダイアルで行われる。
直径44mmのステンレススティール製ケースにはサテン仕上げとポリッシュ仕上げが施される。複数の機能を司るのはグラスヒュッテ・オリジナルの自社製キャリバー89-02だ。グラスヒュッテ・オリジナルのロゴが配されたスケルトン加工の21Kゴールド製ローターから供給される動力で、約72時間のパワーリザーブを保持している。ローターにはザクセン式3/4プレートとともに独自の畝模様(グラスヒュッテにおけるストライプ仕上げ)が施され、サファイアクリスタル製ケースバックから鑑賞可能である。毎時2万8800振動、全体のパーツ数は約430で、石数は63だ。
セネタ・コスモポリトにはフォールディングクラスプを備えるダークブルーのルイジアナ産アリゲーターストラップ、もしくは8段階の微調整機構付きステンレススティール製ブレスレットの選択肢がある。税別価格は前者が243万円、後者が257万円だ。
Contact info: グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 Tel.03-6254-7266
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