その着回しのしやすさから、男女を問わず人気の高いボーダー柄のカットソー。フランスブランドのロングスリーブが有名だが、北欧ブランドであるヘリーハンセンのショートスリーブを紹介したい。
吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie
ヘリーハンセンの定番ボーダーカットソーで、旬のビッグシルエット。素材にポリエステルを混紡することで速乾性に優れ、汗をかきやすいこれからの季節に実にありがたい1着だ。また、コットン100%に比べてシワになりにくいのも特長のひとつ。E/C度詰め天竺(ポリエステル65%、コットン35%)。抗菌防臭のポリジン加工により汗の臭いを軽減してくれる。UVケア(UPF15-30、紫外線カット率85%以上)。7000円。
プロフェッショナルからも愛される、高機能カットソー
サマーシーズンの人気アイテムのひとつ、ボーダー柄のカットソーを紹介したい。ボーダーカットソーといえば船乗りやフランス海軍に愛用されてきた歴史があり、有名なところではフランスのメーカーが数社手掛けている。日本では1980年代のフレンチブランド全盛期に上陸し、現在は定番化しているアイテムだ。今回はフランスではなく、あえてノルウェーのヘリーハンセンをお薦めしたい。
ヘリーハンセンの歴史は意外と古く、1877年までさかのぼる。商船隊の船長だったヘリー・ジュエル・ハンセンが37歳でリタイアし、ノルウェーの港町であるモスにオイルスキン&キャンバス工場を設立したのが始まりだ。まずはプロフェッショナル向けのオイルスキンを手掛け、翌78年のパリ万博ではシーマン衣料部門で、最優秀賞を受賞している。
また、火災の多かった港町のために亜麻仁油を染み込ませたセイルキャンバス製の消火バケツを販売したり、1950年には世界初となるウェルダー縫製(熱処理で融着させる技術)による完全防水ウエアを商品化したり、その時代の最先端の技術を生かした製品作りを行ってきた。現在でもその防水テクノロジーを追求し続け、スキーヤーや登山家などに愛用され、海だけでなく、山のプロフェッショナルたちからも厚く信頼されているのだ。
さて、今回紹介するヘリーハンセンのカットソー「ショートスリーブ ボーダーボートネック」は、カジュアルウェアにもかかわらず、ハイスペックを実現している。着心地のよい柔らかな度詰め生地を使用し、銀イオンを繊維に付着させることでバクテリアの繁殖を抑えているのだ。つまり、汗の臭いを軽減してくれるというわけだ。この抗菌防臭のポリジン加工は洗濯を繰り返しても効果は持続可能。また、ポリエステルを混紡させているので速乾性にも優れている。
最近のヘリーハンセンは、より細かくブランドを分けていて、優れたデザイナーを起用したり、他ブランドとコラボレーションしたり、デザインにも注力している。このボーダーカットソーも一見すると普通なのだが、ビッグシルエットや裾のスリットデザインなど、全体から細部に至るまでセンスが良いのだ。この夏、1枚あると役立つこと間違いなしのカットソーだ。
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