一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は、"世界のホームラン王"こと福岡ソフトバンクホークスの王貞治球団会長が選ぶ腕時計を紹介しよう!
王 貞治
1940年、東京府東京市本所区(現・墨田区)生まれ。ルーキーイヤーの1959年から引退までの21年間で積み上げたホームラン記録は868本。この累計本塁打数の記録がいまだに世界一として保持される、まさに"世界のホームラン王"が今回紹介する王貞治だ。長嶋茂雄とともに巨人を9年連続の日本一「V9」へ導き、巨人軍の黄金時代を築き上げたひとりである。そもそも国民栄誉賞は、かつての内閣総理大臣が王をたたえるために創設したものだ。
王の現在の肩書きは、福岡ソフトバンクホークス取締役会長、日本プロ野球名球会顧問。今回紹介する写真は、7月25日の東京スポーツに掲載された写真である。記事のタイトルは「『世界の王』会長の右ストレートがバレンティンに“炸裂”!」。打撃不振のウラディミール・バレンティン選手を激励する姿が捉えられたものだ。
左投げ左打ちで知られた王が右パンチを繰り出す、その左腕に着けられていた腕時計をクローズアップして見てみよう。写っているのは、セイコーのGPSソーラーウォッチ「セイコー アストロン」だ。
セイコー
「セイコー アストロン」
かつて時計産業に「クォーツ革命」を巻き起こした、20世紀の時計史上重要な時計のひとつ「セイコー クオーツ アストロン 35SQ」。その輝かしい名を受け継ぎ、2012年に生まれたのがGPSソーラー腕時計「セイコー アストロン」である。「第2の革命」を起こすべく搭載されたのは、世界初となるGPS衛星電波受信による時刻修正/タイムゾーン修正機能。ボタン操作ひとつでGPS衛星からのシグナルを取得し、"10万年に1秒の誤差"という驚きの精度で現在地の時刻を表示するものだ。
今でこそ日本においてGPSソーラー腕時計は浸透しつつあるが、最初のインパクトたるや、腕時計のわずかな大きさで地球上のどこからでも、空を遮るものさえなければGPS衛星の電波をキャッチでき、その性能は驚異的なものであった。直径47mmで登場したファーストモデルより、2020年の最新型アストロンは直径42mm台までダウンサイジングを果たしている。王が着用するRef.SBXB001は、その小型化への第1歩となったものであり、7Xシリーズから8Xシリーズに切り替わって直径が45mmとなった2014年のものである。文字盤の色は白。白星への験を担ぐ意味で、スポーツ選手の多くが好む色だ。
2020年5月20日に80歳となった王であるが、今季のチームの低迷を受け、激励のためスタジアムへとたびたび足を運ぶ。バレンティンとのやり取りはこの中で見られたものだ。この写真の数週間前には福岡からはるばる札幌ドームまで電撃訪問したほどである。王は時計に関して、これ以外に黒文字盤のパテック フィリップ「ノーチラス」や他のセイコー アストロンも所有することで知られる。しかし勝負の場面では白文字盤を選ぶあたり、変わらぬ闘志を持ちつつも験担ぎも大切にする人物像がうかがえるようである。
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