8角形ベゼルと一体型ケースのデザインを特徴とするジラール・ペルゴの「ロレアート」。2016年に定番コレクションとして復活し、クロノグラフも展開している。今回は、「ロレアート クロノグラフ」の定番モデル、直径42mmケースでハイコントラストな文字盤を備えるシルバーダイアルモデルにクローズアップして、その魅力を検証する。
Text by Martina Richter
トレンドを押さえたステンレススティール製ラグジュアリースポーツウォッチ「ロレアート クロノグラフ」
ラ・ショー・ド・フォンに拠点を置く老舗ブランド、ジラール・ペルゴ。創業は1791年にさかのぼり、「スリー・ゴールド・ブリッジ トゥールビヨン」をはじめとした魅力的なデザインと革新的なクラフツマンシップを融合させた時計作りを行っている。ジラール・ペルゴはまたクォーツ技術においても先駆的であり、国際的な標準振動数3万2768Hzは、1971年にスイス勢としていち早くクォーツムーブメントの自社設計・製造に成功したジラール・ペルゴが定めたものだ。100以上の特許と数々の受賞歴はブランドの技術水準の高さを表している。2016年のロレアートの再導入により、1970年代にアイコンとして輝いたステンレススティール製ケースと一体型ブレスレットのモデルを復活させることとなった。
ステンレススティール製ケースの「ロレアート クロノグラフ」には文字盤のバリエーションが3種類ある。ブラックにブルーのサブダイアルを備えたスポーティーなもの、エレガントな印象のブルー、そして今回クローズアップして紹介するシルバーダイアルにブラックカウンターを組み合わせたモデルだ。
シルバーダイアルモデルの仕様は、現在におけるステンレススティール製ラグジュアリースポーツウォッチのトレンドを押さえており、オフィス使いから夕方のオフタイムの外出まで幅広く活躍する。またケースへの表面仕上げやさまざまなディテールによって飽きるということがない。
ワッフルのようなクル・ド・パリ装飾が施されたシルバーダイアルは、人目を引く存在だ。ピラミッド型のレリーフは、特別な光の効果を演出する。ブラックで引き立つ3つのサブダイアルは、3時位置がスモールセコンド、9時位置がクロノグラフの30分積算計、6時位置が12時間積算計だ。Vの字を構成する3つ目の配置により、サブダイアルには躍動感があり、スリムな目盛りは視認性が高い。シルバーのダイアルとメインコントラストを成すブラックの文字盤外周部分にはミニッツスケールが描かれ、そこを長い分針が滑っていく。このミニッツスケールは経過秒の測定にも使用され、分針よりわずかに長いブルーのクロノグラフ秒針によって読み取ることができる。
アワーインデックスと時分針に蓄光塗料が施され、暗所でも時間を表示し視認性を担保する。しかし、日中の光の下ではディテールと白黒のコントラストの強さが干渉し合うこともある。例えばクロノグラフ針は時々サブダイアル上で見分けにくいが、サブダイアルの視認性は高いなどである。
ケースも文字盤と同じくらい魅力的だ。ジラール・ペルゴが1970年代に最初のロレアートを発表した当時、ステンレススティール製ラグジュアリースポーツウォッチは、現在と同じくらい流行していた。スリムなケースは当時らしいスピリットを宿し、角度のついたベゼルやポリッシュとサテン仕上げの組み合わせで仕上げられた表面、一体型ステンレススティール製ブレスレットも同様である。
ロレアート クロノグラフは1970年代に生まれた最初のロレアートのDNAを色濃く受け継ぐものだ。8角形のベゼルは角が柔らかく、外縁に向かって緩やかに下がっており、表面にはサテン仕上げ、側面にはポリッシュ仕上げが施されている。ベゼルはポリッシュ仕上げのリング上に配され、人間工学に基づいた形状のラグを持つミドルケースと組み合わされている。これによってラグを含むと最大値が直径47mmとなる大ぶりな時計の着用感が良くなるだけでなく、ケースがステンレススティール製ブレスレットと融合してデザイン性も向上するのである。ミドルケースへの面取り加工はサテン仕上げのH型のブレスレットのリンクへと続き、そこにポリッシュ仕上げのあるミドルパーツが組み合わされている。しなやかなブレスレットは、ブランドのイニシャルがエングレービングされたダブルフォールディングバックルのサイドにあるプッシュピースを押すだけで簡単に開くことができる。
ケースとブレスレットは904Lステンレススティール製で、ロレックスが長年使用しているものと同じ合金である。クロムを多く含有するため、機械加工が難しいが、耐腐食性の高さと光沢感が特徴である。
419部品で構成されるムーブメントにはコート・ド・ジュネーブやペルラージュ、面取りの仕上げや、ブルーカラーのネジなどが見られる。歩度測定器によるムーブメントの精度安定性試験結果は満足できるものであるが、パワーリザーブが落ちてきた時やクロノグラフ作動時に姿勢によって若干のばらつきが散見された。ケースやブレスレットのデザインは調和が取れており、ロレアート クロノグラフをアイコニックたらしめている。
この時計はさまざまなシーンでスポーティーな時計を着用したいユーザーに訴求するであろう。スリムで一体型のデザインとクラシックだがありふれたものではない外観があり、装着感にも優れている。
技術仕様
リファレンスナンバー: | 81020-11-131-11A |
機能: | 時、分、スモールセコンド、デイト表示、クロノグラフ(センタークロノグラフ秒針、30分積算計、12時間積算計) |
ムーブメント: | 自社製キャリバーGP03300をベースにデュボア・デプラのクロノグラフモジュールを採用した自動巻きキャリバーGP03300-0137、2万8800振動/時、63石、ニヴァロックス製ヒゲゼンマイ、グルシデュール製テンプ、トリオビス緩急調整装置、パワーリザーブ約46時間、キフ耐衝撃装置、直径25.95mm、厚さ6.50mm |
ケース: | 904Lステンレススティール製ケース、両面に反射防止加工を施したサファイアクリスタル製風防、10気圧防水 |
ブレスレット&バックル: | ステンレススティール製、サイドにプッシュピースが付いた一体型ダブルフォールディング・デプロワイヤントバックル |
サイズ: | 直径42㎜、厚さ12.01㎜、重量176.5g |
価格: | 166万円(税別) |
※価格は記事掲載時のものです。この記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。
精度安定試験
着用時: | +4.2 |
文字盤上: | +6.0/+4.6 |
文字盤下: | +10.0/+12.6 |
3時上: | +2.6/+6.8 |
3時下: | +4.6/+2.1 |
3時左: | +2.5/-9.3 |
最大姿勢差: | 7.5/21.9 |
平均日差: | +5.1/+0.6 |
平均振り角 | |
水平姿勢: | 285゜/248゜ |
垂直姿勢: | 257゜/220゜ |
Contact info: ソーウインドジャパン Tel.03-5211-1791