「グランドセイコー」は、腕時計の世界において最高級ブランドの一角を占める存在である。各界からの厚い信頼を集めるとともに、若い時計ファンにもおすすめだ。グランドセイコーの特徴と、20代の時計ファンにおすすめしたいモデルについて紹介する。
高級でありながら、実用性も損なわないグランドセイコー
腕時計は、生活に欠かすことのできないアイテムだ。時間を確認するという目的のために正確に時を刻む性能が求められるが、他方、単に実用品というだけでは収まらない面も有している。腕時計は、身に着ける人のセンスや内面も表すので、装身具としての意味も大きい。
それゆえ、若い世代が最初の高級腕時計を購入しようと思う時、ビジネスから休日まで幅広いシーンにマッチした1本は最適な選択となるだろう。グランドセイコーは、そんな期待に確実に応えてくれるブランドだ。
グランドセイコー誕生から現在まで
グランドセイコーの誕生は、1960年のことだ。スイス製が圧倒的多数を占めていた機械式時計の世界にあって、スイスを超える精度を備えた高級時計を目指して誕生した。なお、同年、国産時計では初めてスイス・クロノメーター検定規格に合格している。
その後、クォーツ式ムーブメントを搭載するようになり、93年に発表された9F系は、クォーツの最高峰として高い評価を得ている。
さらにセイコーは99年、機械式とクォーツが融合したムーブメント「スプリングドライブ」の開発に成功。2004年には、グランドセイコー専用スプリングドライブ搭載モデルが登場した。さらにグランドセイコーは17年にセイコーから独立したブランドとなり、日本を代表する高級ブランドとして世界の高みを目指すようになった。
本質重視ならば20代でもグランドセイコー
高級時計に必要なものは、正確さや視認性の高さといった機能面はもちろん、仕上げの美しさや装着感といった要素だ。
グランドセイコーのデザインの根本にあるのが、3つの理念と、それを軸とした9つのデザインコードで構成された“セイコースタイル”である。
緻密に組み立てられたコンセプトに忠実に従いながら、高い技術力を遺憾なく盛り込み、時計づくりを実践している。そこに一切の妥協はない。
その結果、ビジネスの最前線、華やかな社交の場、そしてカジュアルなプライベートタイムなど、さまざまなシーンに適応する完成度が備わるのだ。
20代にも、本質を見極めたいと願う向きは多いだろう。そんな若者にも、グランドセイコーがたたえる本物の魅力を体感して欲しい。
重要な3つのムーブメント
グランドセイコーは、1960年のスタート以来、その技術力を武器に、数々の画期的なムーブメントを世に送り出してきた。代表する3タイプについて詳述していく。
厳しい自社規格ムーブメント「9Sメカニカル」
「9Sメカニカル」は、多数の最先端技術が詰め込まれている機械式ムーブメントだ。高級時計ファンには、時計は機械式に限ると考える傾向も強く、熱心なマニアからも厚い信頼を勝ち得ている。
自慢の技術が「MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)」だ。半導体などに用いられる加工技術で、0.001mm単位の工作精度を有している。これにより、高い強度と軽量化の双方を実現可能とした。
また、9Sメカニカルには、新GS規格(平均日差+5秒〜-3秒)が適用されている。世界の高級メーカーが準拠するスイス公式クロノメーター以上に厳しい自社規格を課すことで、他の追随を許さない精度を生み出しているのだ。
精度高く新機軸を搭載した「9Fクォーツ」
「9Fクォーツ」は、“クォーツを超えたクォーツ”とたたえられているムーブメントだ。
クォーツムーブメントの特徴は、毎秒3万2768回振動する水晶の性質を用いて、時を正確に刻むこと。特に9Fクォーツでは、1年間の時差がわずか±10秒という驚異的な精度を誇る。
さらに、クォーツの短所とされてきたトルクの弱さを、新機軸によって克服した。独自技術のツインパルス制御モーターで、エネルギーを節約しながら運針させることで、従来のクォーツモデルでは難しい太い針でも稼働可能にした。
ゼンマイと水晶振動子を融合「9Rスプリングドライブ」
機械式とクォーツ式との良いとこ取りなムーブメントを手にしたいと思うなら、選択肢は世界中を探してもグランドセイコーのみである。「9Rスプリングドライブ」は、同社だけの技術によって生み出されている。
動力は、機械式時計に見るゼンマイだ。電池不要である上に、多くの高級時計ファンが求めるゼンマイを巻く喜びを味わえる点も嬉しい。
一方で制御システムには、IC・水晶振動子からの電気信号を利用。平均月差±10秒という水準は、正確無比な動きを保証してくれる。