グランドセイコーのクロノグラフ。モデルの特徴と魅力を掘り下げる

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2020.12.13

グランドセイコーのクロノグラフ搭載モデルは、長年の研究から生まれ、高い技術力の結晶として性能も評価されている。世界に通用する高級腕時計として高いステータス性も備えており、いま最も注目したい時計のひとつと言えるだろう。

グランドセイコー


グランドセイコーの歴史を振り返る

1960年に誕生したグランドセイコーは、2017年にセイコーブランドから独立。2020年には60周年を迎えた。近年ますます新作への注目度が高まっている、グランドセイコーのブランド力とクロノグラフとの関係性を見ていこう。

国内有数のブランド力

グランドセイコーはスイス高級腕時計に匹敵する機械式時計として1960年に誕生し、国内最高峰の精度や信頼性を追求していった。

61GS V.F.A

1969年に登場した「61GS V.F.A」。「V.F.A.」とは「Very Fine Adjusted」の略で、当時の機械式時計として前例のない月差−1分〜+1分を実現した。

69年には月差±1分以内の機械式時計「61GS V.F.A.」、88年には年差±10秒のクォーツ式時計「95GS」、2004年には最大約72時間のパワーリザーブを誇るスプリングドライブ式時計を発表した。

世界的な競争力を高め、セイコーの海外市場での売上高にも貢献してきたグランドセイコーは、2017年には高級腕時計に特化したブランドとしてセイコーから独立。世界に通用する日本ブランドとして、さらなる飛躍を目指している。

クロノグラフとグランドセイコーの関係

1964年には日本初のクロノグラフ、69年には世界初となる垂直クラッチ搭載の自動巻クロノグラフが開発されたが、これらはいずれもグランドセイコーを生んだ諏訪精工舎(現・セイコーエプソン)で誕生した。

しかし、グランドセイコー専用のクロノグラフムーブメントの完成は、9Rスプリングドライブの改良を重ねた2007年を待つ必要があった。

機械式の主ゼンマイとIC・水晶振動子とを組み合わせたスプリングドライブは、機械式のトルクとクォーツの精度とを兼備しており、機械式クロノグラフを凌駕する精度を得られる。

1999年にスプリングドライブが開発されてから8年を経て、平均月差±15秒かつ最大巻上時72時間のパワーリザーブ、GMT機能までも備えた「Cal.9R86」が完成した。


クロノグラフの基礎知識

グランドセイコーは国内におけるクロノグラフ技術の中枢であり、Cal.9R86を搭載した高性能クロノグラフは、世界市場での存在感を増している。ここでクロノグラフ機能の概要や操作方法、機能性やデザイン性の魅力を見ておこう。

ストップウォッチが付いた時計

クロノグラフとは、通常の時刻表示に加えて任意の経過時間の計測が行える時計、つまりストップウォッチ機能付きの時計である。

オーソドックスなクロノグラフは、センター秒針を経過時間計測用に置き換え、30分(または60分)積算計・12時間(または24時間)積算計・スモールセコンドという3つのインダイアルを備える。

ふたつのプッシュボタンを操作することで計測し、計測中は通常の時刻表示に干渉することはない。

基本的な使い方

多くのクロノグラフ機能搭載モデルは、2時方向にスタート/ストップボタン、4時方向にリセットボタンを配している。

ストップウォッチとして使用する際には、測定開始と終了のタイミングでスタート/ストップボタンを押し、経過時間を積算計で読み取り、リセットボタンを押してすべてのクロノグラフ針をゼロ位置に戻す。

ラップタイムの積算計測などを行う場合には、スタートとストップを必要に応じて繰り返し、計測終了の段階でリセットボタンを押す流れだ。

ゼロリセットと再スタートを瞬時に行う「フライバック」機構が搭載されていない限り、計測中にリセットボタンを押すと内部故障の原因となるため、操作には注意されたい。

根強い人気を誇るクロノグラフ

クロノグラフは、時間を見るだけでなく“操作できる”機能であり、腕時計を触って楽しむというメカ好きにはたまらない魅力がある。

機能を使わずともインダイアルやクロノグラフ秒針はメカニカルな味わいがある上、スポーティーなケースデザインであることが多い。つまりクロノグラフは、腕時計に複雑なメカニズムやスポーティーなデザイン性を求める人に向いていると言えるだろう。

操作方法の間違いや誤作動に注意する必要はあるが、グランドセイコーは「ねじロック式ボタン構造」と「READY/STARTモード」を採用するため故障のリスクは低い。

さらにスプリングドライブ独自のなめらかな「スイープ運針」の動作を堪能できることも、グランドセイコーの魅力である。