時計界の頂点を目指すという志で誕生した「グランドセイコー」は、高い技術力と開発力を結集させ、最高水準の時計を発表し続けるブランドだ。限定モデルにも、その魅力が随所にちりばめられている。一般モデルとの違いやおすすめを掘り下げていこう。
世界に挑戦するグランドセイコー
戦後、日本のモノ作りは、世界から高い注目を受けてきた。時計においても、世界が驚くほどの高い品質を備えた製品を次々と世に送り出している。
おしなべて技術力を評価されている日本の時計メーカーであるが、なかでもグランドセイコーは、世界の一流ブランドの一角を占めるまでに成長し、揺るぎない地位を確立している。
グランドセイコーが各界のトップやエグゼクティブからの厚い信頼を得る理由はどこにあるのか。その魅力について確認してみたい。
海外の高級時計にも負けない国産時計
「初代グランドセイコー」は、1960年に誕生した。スイス勢が席巻していた高級時計の世界にあって“国産最高級の腕時計”としてつくられたのだ。
オリジナルモデルは、当時の国産時計としては初めてスイス・クロノメーター検定規格に合格し、その高い技術力を見せつけた。
グランドセイコーがクォーツを搭載するようになるのは、1988年のことだ。温度変化・湿度変化・耐衝撃性に優れた水晶振動子を使用することで、当時最高峰の精度を実現した。1993年には現在9F系と呼ばれるクォーツムーブメントの祖「Cal.9F83」を開発。これにより、グランドセイコーのクォーツムーブメントは“クォーツを超えたクォーツ”と称されるようになる。
1999年には、機械式とクォーツ式のハイブリッド・ムーブメント「スプリングドライブ」の開発に成功する。構想から20年以上の歳月をかけた、第3のムーブメントの誕生である。グランドセイコーへの搭載にはさらに5年の時間を要し、2004年についに「Cal.9R65」を搭載したモデルが登場した。
名実ともに高級時計メーカーとしてのポジションを確立したグランドセイコーは、2017年、セイコーから独立。そして、誕生60周年を迎える2020年、さらなる海外進出を目指して歩み始めた。
技術が光る3つのムーブメント
時計の心臓部といえるムーブメントだが、グランドセイコーには、持ち前の技術が光る3タイプが存在する。それぞれの特徴や魅力を探ってみよう。
高級時計好きには機械式を求める向きが多いが「9Sメカニカル」は最先端の技術に支えられ、熱心な時計愛好家にも評価の高い高精度なムーブメントだ。超精密部品に用いられる最先端の加工技術「MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)」を活用し、0.001mm単位の精度でパーツを製造することで、高強度・軽量化を実現した。
「9Fクォーツ」は、前述の通り“クォーツを超えたクォーツ”との呼び声も高いムーブメントだ。クォーツの弱点であったトルクの弱さを克服したことで、機械式同様に太く重い針を動かせるようになり、カレンダーの瞬間日送り表示も可能となった。
「9Rスプリングドライブ」は、グランドセイコーが誇る機械式とクォーツ式の融合型ムーブメントだ。スプリングドライブを製造できるのは、同社のみである。
マスターショップ限定モデルとは?
グランドセイコーでは、全てのグランドセイコー取扱店で購入可能な一般モデルの他にも、限定された流通のみで購入可能な限定モデルを発表している。マスターショップで入手可能な限定モデルについて詳述しよう。
一部の店舗でしか手に入らない
時計に限らず、自動車でもスニーカーでも、限定モデルが発表されることがある。グランドセイコーにおいても、魅力的なマスターショップ限定モデルを手にすることができる。
マスターショップとは、グランドセイコーが認定した一部の販売店のことで、主に全国各地のブティックや百貨店が該当する。
マスターショップ限定モデルの一番の魅力は、その希少性の高さ。現在日本には約590店のグランドセイコー取扱店があるが、そのうち、マスターショップと認定された店舗は約145店。4分の1以下の店舗でしか手に入らない計算になる。
他のグランドセイコーのモデルとの差別化を図るなら、見逃せないモデル群なのだ。
一般モデルとの違い
セイコーが認定する販売店のみで購入可能なマスターショップ限定モデルは、一般モデルとなにが異なるのか。
第一の魅力はデザインの特別感、第二はその希少性だろう。それらがもたらす満足度の高さは格別で、大切な人へのプレゼントなどにも最適だ。
ダイアルデザインが違うだけでなく、ケースバックに特別なエングレーブやシリアルナンバーが施されている場合もある。これも密かに所有欲を満たしてくれるディテールだ。
保証については、一般モデルとまったく変わりなく受け付けてもらえるので、その点も安心されたい。