全世界の時計好きと音フェチ感涙!! webChronosがお送りする「音で知る高級時計の世界」シリーズは“時計の音”にフォーカスした4K動画です。時計が発する音を愉しみつつ、美しいムーブメントの姿や針の動きなどを4Kの高画質で堪能してください。作業用BGMに、仕事終わりの晩酌のお供に。今回は今回はセイコーシャ ナルダン型とジョン・ベネットのクロノメーターポケットウォッチの聞き比べ企画です。ヘッドホン推奨。
スイスレバー脱進機とデテント脱進機の“音”にフォーカス
撮影・編集:吉江正倫
どちらの音が好み?
今回の「音で知る高級時計の世界」は、以前紹介した戦前のセイコー(精工舎)を代表する高級機「セイコーシャ ナルダン」と、19世紀の英国時計ブランド「ジョン・ベネット」のクロノメーターポケットウォッチによる聞き比べです。
当時、高級ポケットウォッチのベンチマーク的存在だったユリス・ナルダンをコピーしたセイコーシャ ナルダン。その最大の見所は、分割された複数の受けを持つ美しいムーブメントです。対してジョン・ベネットのムーブメントは受けでその大半が覆われてしまっています。しかし、さすがは高級機。18KYGのハンターケースには手の込んだエングレービングが各所に施されています。
スイスレバーを採用し、聞き慣れたチクタク音を発するセイコーシャと、力強い音を小刻みに鳴らすデテント脱進機のジョン・ベネット。製造された時代も国も、そしてムーブメント構造も異なるふたつの高級懐中時計。貴方はどちらの音がお好み?
見所箇所
0:10 ジョン・ベネット リュウズ巻き上げ
0:17 セイコーシャ ナルダン型 リュウズ巻き上げ
0:28 セイコーシャ ナルダン型(スイスレバー)&ジョン・ベネット(デテント) 聞き比べ←注目ポイント!!
0:45 ジョン・ベネット イメージカット&ビート音①
1:13 セイコーシャ ナルダン イメージカット&ビート音①←注目ポイント!!
1:43 ジョン・ベネット イメージカット&ビート音②←注目ポイント!!
2:13 セイコーシャ ナルダン イメージカット&ビート音②
2:45 ジョン・ベネット ダイアル&ビート音
3:14 セイコーシャ ナルダン ダイアル&ビート音
精工舎「セイコーシャ ナルダン型」
戦前に精工舎より発表された超高級懐中時計。当時の高級時計の代表とも言えるユリス・ナルダンとロンジンの長所を取り入れている。ムーブメントは16石仕様のほか、17石や18石仕様があり、またケース素材もクロームやプラチナ、銀などいくつかから選べた。手巻き。18石。1万8000振動/時。
脱進機とは
輪列と調速機の間にある機構のこと。一般的にはガンギ車、爪石、アンクルなどから構成され、輪列の回転運動を左右の動きに変換してテンプに伝える。種類としては主にリコイル型(主にバージ脱進機)、デッドビート型(主にシリンダー脱進機)、デタッチ型(主にスイスレバー脱進機とデテント脱進機)の3種類に分けられる。リコイル型は簡潔だが姿勢差が大きいため携帯時計に向かず、デッドビート型はテンプの振り角が上がらない欠点を持っていた。そのため現在は携帯に向き、テンプの振り角が上がりやすいデタッチ型(特にスイスレバー)が一般的。しかしスイスレバーは脱進機効率が約30%と低いため、オーデマ ピゲやジャガー・ルクルトはデテントをベースに高効率な新型脱進機を開発した。一方パテック フィリップはスイスレバーながらも、軽いシリコン素材を使うことで脱進機効率を向上させている。(webChronos時計用語辞典より)
デテント脱進機とは
クロノメーター脱進機とも。1765年、フランス人時計師のピエール・ル・ロワが発明した。拘束角が小さく高い等時性を与えられるほか、ツメ石とガンギ車の接触面が小さく、設計が優れていればほとんど注油の必要がない。またスイスレバー脱進機に比べてより大きなテンワを駆動することができる。一方、テンプの振り角が上がりすぎる“振り切り”が起こりやすく、衝撃で簡単に停止する。また姿勢差が大きいため携帯時計への採用例は少ない。オーデマ ピゲのAP脱進機や、ジャガー・ルクルトのエリプス・イゾメーター脱進機(いずれも2007年)などはデテント脱進機の欠点を改良した、広義のデテント脱進機に含まれる。オメガが開発したコーアクシャル脱進機(1978年、製品化は1999年)もまた、デテントをベースにした脱進機といえる。(webChronos時計用語辞典より)