当初は「デイトジャスト」の廉価版的位置付けだった「オイスター パーペチュアル」だが、一方では、ロレックスの礎を築き上げた側面もある。オイスター パーペチュアルの魅力や、誕生から現在までの歴史、現行モデルを紹介する。
オイスター パーペチュアルとは
ロレックスは、「オイスターケース」「パーペチュアル」「デイトジャスト」という、時計史に名を残す三大発明により、腕時計の実用性向上に貢献したことで知られている。
これらの発明のうち、ふたつを搭載したモデルが、今回紹介する「オイスター パーペチュアル」である。
ロレックスの三大発明のひとつ
牡蠣(かき)が硬い殻を備えていることから名付けらた「オイスターケース」は、1926年に発明された、頑丈さと高い防水・防塵性能を備えたケースだ。翌年にはドーバー海峡横断で使用され、優れた性能を証明している。
31年には、両方向に回転するローターを備え、ゼンマイを自動で巻き上げる機構「パーペチュアル」を発明。これにより、手巻き式時計における巻き上げの手間や、内部が汚れるリスクを軽減した。
45年に発表された「デイトジャスト」は、ダイアルの3時位置にデイト表示を配置する機構。ひと目で分かる場所に小窓が作られたことや、0時になると瞬時に日付が変わることなど、優れた機能性が高く評価された。
オイスターケースとパーペチュアル搭載モデル
オイスター パーペチュアルは、ロレックスの三大発明のうち、オイスターケースとパーペチュアルを搭載したモデルだ。
このモデルが登場した1931年は、パーペチュアルの特許を取得した年である。既に発明されていたオイスターケースと組み合わせて開発された。
その名の通り、優れた防水・防塵性能を備えたケースの自動巻き式時計である。このモデルをベースに、その後「サブマリーナー」「ミルガウス」「エクスプローラー」といった、ロレックスが誇るプロフェッショナル仕様のモデルが開発されていった。
オイスター パーペチュアルの歴史
ロレックスの原点を現在まで伝える、オイスター パーペチュアルの歴史を見てみよう。登場以来改良を繰り返し、現在は三大発明のすべてを備えた高性能モデルとなっている。
通称バブルバックの誕生
初期のオイスター パーペチュアルは、裏蓋の厚みが泡のように膨らんで見えることから、通称バブルバックとも呼ばれている。
誕生した1931年から50年頃までの初期型はRef.2940や3131、5015などがリリースされている。搭載されていたムーブメントは、Cal.520(AR)や630NAなどである。
ケース径は31mmで、次に紹介する「セミバブル」に比べて若干小さい。セミバブルを含めて約20年間製造され、文字盤と針の種類が豊富なため、現在もコレクターの間で人気だ。
セミバブルも登場
1950年頃からは、ケース径を33~34mmにしたモデルが登場している。ケースをひと回り大きくし、裏蓋の膨らみを抑えたことから、セミバブルと呼ばれている。
セミバブルは、Ref.6084や6103、6107などが、55年までの数年間のみ製造された。搭載するムーブメントは、すべてCal.645である。
バブルバックやセミバブルと並行して、50年代から60年代にかけては、アメリカ向けにもオイスター パーペチュアルが製造されていた。
特徴はインデックスなどの装飾を施さず、十字のクロスラインが入ったシンプルな文字盤。この文字盤を「ゼファーダイヤル」と呼んでいたことから、モデル自体は通称「ゼファー」と呼ばれている。
三大発明すべてを備えたハイスペックに
1945年には、カレンダー機能が搭載された「オイスター パーペチュアル デイトジャスト」が登場した。 これにより、三大発明のすべてを搭載したハイスペックモデルとして、現在まで製造されている。
ノンデイトタイプのオイスター パーペチュアルに関しては、製造がなかった数十年間を経て、ケース径を36mmに大型化したRef.116000が、2008年に登場している。
14年には、07年から製造されていた通称「エアキング」が実質的な生産終了を迎えたが、型番やスペックはそのままに、文字盤にAir-Kingロゴのない34mmのオイスター パーペチュアルとして製造が続けられている。