時計の風防の役割とは? 種類や交換、メンテナンス方法を解説

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2021.03.30

時計に対する興味が強くなってくると、各パーツについても詳しく知りたくなるはずだ。そのひとつである風防は、時計の内部を保護する重要なパーツであり、使われている素材によって特徴も異なる。風防の種類や交換方法などを解説しよう。

クロノマット B01 42


風防について知ろう

時計における風防とは、どのようなものを指すのだろうか。風防の役割と加工の種類について解説する。

風防に期待される役割

一般的に、風防とは「風から受ける悪影響を防ぐための器具や部品」を指す。バイクの前面に取り付けられるポリカーボネート製の風防や、マイクに付けるスポンジ製の風防など、風を受けやすい部分によく使われる。

時計における風防とは、ダイアルの上部に取り付けられた透明なパーツのこと。時間表示部分や内部の機械類を守るために、風防は時計において重要な役割を担っている。

時計の風防の役割は、風から内部を保護するだけではない。外部の塵やほこりに加え、衝撃や水圧、光などからも、時計を保護する目的で取り付けられている。

加工の種類

コンステレーション マスター クロノメーター

2020年に発表されたオメガ「コンステレーション マスター クロノメーター」が採用しているのはドーム型のサファイアクリスタル製風防。両面無反射コーティングが施されているため、視認性も高い。写真はケース素材にステンレススティールと18Kセドナゴールドを用いたモデルで、価格は93万円(税別)。

風防の加工には「ドーム型」と「ボックス型」の2種類がある。風防の内側と外側がカーブしているタイプがドーム型で、外周部が立ち上がっているタイプがボックス型だ。

かつての樹脂ガラス風防に似たタイプのボックス型や、サファイアクリスタル(サファイアガラス)のドーム型風防は、ヴィンテージ時計には欠かせないパーツとされている。

ボックス型はドーム型に比べて重いため、風防を支える防水パッキンを厚めに設計している時計が多い。パッキンが厚いとデザインの良さが損なわれてしまうため、ボックス型を選ぶ際は時計全体のデザインバランスも確認した方がいいだろう。

スピードマスター 38mm

2020年発表のオメガ「スピードマスター 38mm」はボックス型のサファイアクリスタル製風防を採用し、レトロな雰囲気に仕上げている。写真は18Kイエローゴールド製のケースにダイヤモンドをセットしたモデルで、価格は202万円(税別)。


風防の素材の種類

風防の素材には、主にミネラルガラス・サファイアクリスタル・アクリルガラス(プラスチック)の3種類が使われている。それぞれの特徴をチェックしておこう。

最も一般的なミネラルガラス

ティソ ヘリテージ バナナ

緩やかなカーブが美しい「ティソ ヘリテージ バナナ」が採用しているのは、ミネラルガラス製風防。写真のモデルは、2021年1月に発売されたばかりのグリーンダイアル。価格は5万円(税別)。

ミネラルガラスは、一般的に使われているガラスのことを指す。ミネラルガラスに特殊加工を施したものがクリスタルガラスである。

ミネラルガラスの硬度はそれほど高くないため、欠けたり割れたりしやすいというデメリットを持っている。

ただし、加工がしやすいことや比較的安価であることから、カジュアルウォッチをはじめ、多くの時計に使われている。

高級時計に多いサファイアクリスタル

クロノマット B01 42

ドーム型のサファイアクリスタル製風防を備えた、2020年発表のブライトリング「クロノマット B01 42」。両面無反射コーティングを施し、視認性にも優れている。写真はシルバーダイアルにブラックのサブダイアルを組み合わせたモデルで、ケースはステンレススティール製で、価格は89万円(税別)。

サファイアクリスタルは硬度が非常に高く、傷が付きにくいことが大きなメリットだ。工具のような硬めの金属でこすっても、傷つくことはほとんどないだろう。

風防の素材としては最も理想的な素材とされているが、コストが高いため高級時計に多く使われており、安価な時計の風防に採用されているケースはほとんど見られない。

また、硬度が非常に高いことから、割れる際は派手に割れてしまうという欠点も覚えておこう。

アンティークに多いプラスチック

スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスター クロノメーター

2021年にモデルチェンジを果たしたオメガ「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスター クロノメーター」には、ヘサライト(硬化プラスティック)製風防のモデルもラインナップされている。写真のナイロンファブリックストラップ・モデルは64万円(税別)。

アクリルガラスをはじめとするプラスチック素材は、ミネラルガラスに比べて軽量であることや、樹脂のため加工しやすいことをメリットに持つ素材である。

ガラスが普及する以前によく使われていた素材であり、アンティーク時計や復刻版などに多く見られることが特徴だ。

プラスチックのメリットは、傷が付いた場合でも研磨することで再び美しさを取り戻せること。ミネラルガラスやサファイアクリスタルは、傷を消したい場合は交換しなければならない。

プラスチックの風防は、ドーム型に加工されることが多い。ドーム型はボックス型に比べ強度が強く、プラスチックの強度の弱さを補うために、ドーム型が採用されている。