今秋、開業した「フォーシーズンズホテル東京大手町」。日本の食材を熟知したギヨーム・ブラカヴァル氏によるコンテンポラリーフレンチ「est(エスト)」で、心に響く体験を。
三田村優:写真 Photographs by Yu Mitamura
マナガツオは、緻密な火入れでしっとりとムニエルに。牡蠣は、なめらかなソースに仕立てている。生のコールラビやカタバミニオン、トマトのコンフィ、スモークしたナスのピューレなどを添えて。こちらはディナーにて提供。季節や食材の入荷状況で内容は替わる。昼夜共に店名の頭文字をとった「Emotion」「Saison」「Terroir」の3種のコースを展開。
敬愛なる日本のテロワールを表現
「日本には七十二候があり、トマトひとつとってもベストな時期があります。そんな日本の素晴らしさを表現し、ゲストの皆さまに感動していただきたいのです」と語るのは、フランス人シェフのギヨーム・ブラカヴァル氏。2012年より新宿の「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」のエグゼクティブシェフとして多くのゲストを魅了してきた彼は、日本を家族のように慕い、尊敬の念を抱いてきた。
1981年、フランス生まれ。「オテル・ド・クリヨン」「ランブロワジー」などのパリの名店で修業し「アガペ」のシェフを務める。2011年に来日し、「レストラン タテル・ヨシノ」などに勤務。ロアンヌ「メゾン・トロワグロ」を経て再来日し、12年より「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」のエグゼクティブシェフに就任。20年9月より現職。
新たな舞台となるのは、今秋、華々しく開業を迎えた「フォーシーズンズホテル東京大手町」のシグネチャーダイニング「est」。優しい色調で統一されたエレガントさと、オープンキッチンの高揚感が心地よく交わり、食する喜びへと導いていく。「心臓部であるキッチンを包み隠さずオープンにし、作り手と食べ手、互いの様子が見えることで信頼を築いていけるでしょう。信頼は、レストランのチームにおいても大切なものです」。
提供する料理は、日本の繊細なエレメントを表現したコンテンポラリーフレンチ。野菜は、千葉のタケイファーム、長野のポニーハウスサラダガーデン、石川の高農園の3カ所から取り寄せている。なかでもブラカヴァル氏の想いを象徴する一皿が、魚介と野菜で構成された「マナガツオ 牡蠣」だ。こちらに合うワインをソムリエに尋ねると、山梨県に2013年に誕生したキスヴィン ワイナリーによる、甲州の個性を活かした樽熟成の1本を提案してくれた。「est」では、ワインにおいても日本のテロワールを表現できるラインナップを誇る。
「日本でも、上質なセップ茸やサフランが栽培されていることに驚きました」「お酢は30種類、柑橘は50種類、蜂蜜は15種類をテイスティングしました」「日本の市場は、まるで遊園地のような楽しさです」「サステナブルな食材であることも重要です」と情熱をもって次々と語るブラカヴァル氏。日々新たな素材と向き合い、想いを巡らせ、そこからのインスピレーションでレシピを考案していく。日本の食材への探求心は尽きない。
est(エスト)
東京都千代田区大手町1-2-1
フォーシーズンズホテル東京大手町39F
Tel.03-6810-0655 無休
11:30~15:30(L.O.13:30)、18:00~23:00(L.O.20:30)
昼1万円~、夜2万円~(消費税・サービス料15%別)
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