満を持して発表されたオデュッセウスは、時間をかけただけあって、非凡な完成度を備える時計だった。2020年は、当然のように18K金モデルを追加。併せてストラップがインターチェンジャブルに変更された。高級な実用時計を求める層にも、新しいオデュッセウスは訴求するに違いない。
オデュッセウスの素材違い。相変わらず装着感も優秀だ。ラバー、カーフストラップの2種類があり、価格は同じ。自動巻き(Cal. L155.1DATOMATIC)。31 石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KWG(直径40.5mm、厚さ11.1mm)。12気圧防水。437万円。
広田雅将(本誌):文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
新たにゴールドケースを纏った オデュッセウス
2019年末に発表された、A.ランゲ&ゾーネ初のスポーティーウォッチが「オデュッセウス」である。本誌でもすでに書いてきたとおり、このモデルは、見た目だけをスポーティーにしたモデルではない。ムーブメントの振動数は2万1600振動/時から2万8800振動/時に向上。ガンギ車の保油力を高めるためガンギの蓋石が大きくなり、地板の外周には、ローターが干渉しないようにピンを打つなど、スポーティーウォッチに相応しい改良が施されている。
ケース構造もユニークだ。造形からは想像できないほど部品点数が多いのは、完全に分解できる構造を採用したため。仮に傷が付いても、ケースを分解して磨き直せる。もっとも、部品点数が増えると、スポーティーウォッチに求められる堅牢さは失われる。対してオデュッセウスは、ユニークな構造を取り入れた。ラグを太いピンで支え、その下から太いネジで固定。さらにパッキンを噛ませることで、ラグを歪みなく固定し、防水性を確保している。こういった配慮は、2時位置と4時位置のプッシュボタン回りも同様だ。正直、ただのスポーティーウォッチにしては過剰な設計だが、A.ランゲ&ゾーネらしいと言えなくもない。
スポーティーウォッチに相応しいタフな心臓部。既存のムーブメントに比べて携帯精度と耐衝撃性を大きく高めている。また、逆戻しが可能な日付と曜日表示は実用性にも優れる。自動巻きは片方向巻き上げ。理論上はデスクワークでも十分に巻き上がるはずである。
今年追加されたのは、そのゴールドモデルとなる。併せて、ケース構造も一部変更され、インターチェンジャブルストラップが付くようになった。あのA.ランゲ&ゾーネが交換式のストラップを採用するとは意外だが、時間をかけただけあって、取り付け部の剛性は十分ある。タフに使っても壊れる心配は少なそうだ。オデュッセウスは、現行A.ランゲ&ゾーネのコレクションで最も使い勝手に優れたモデルだと思っている。食わず嫌いの人も、一度は触ってみるべき、所有してみるべき時計だろう。
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