ダイヤモンドやカラーストーンをあしらった華やかなタイムピースだけでなく、機械式ムーブメントを搭載した時計も登場するなど、近年多様化しているジュエリーウォッチの世界。ジュエラーが手がけるきらびやかな“時を告げるジュエリー”から、時計ブランドが作り上げた“女性のための機械式時計”まで、2020年に発表されたレディスジュエリーウォッチをご紹介!

野上亜紀:文 Text by Aki Nogami
[クロノスファム51号掲載記事]

時計ジャーナリストが語る、2020年のジュエリーウォッチ

 ハリー・ウィンストンのめくるめくタイムピースや、ブレゲの艶やかなエナメルが美しい1本など、実にさまざまなジュエリーウォッチがお目見えした2020年。クロノス日本版編集長の広田雅将、ウォッチ&ジュエリージャーナリストの野上亜紀は、今年登場したレディス新作ジュエリーウォッチをどう見たのか?

広田:時計ブランドのジュエリーウォッチは、文字盤の製造技術が進化してきたのと同様に、ジェムセッティングが非常に凝り始めていて、だいぶ変わってきましたね。ダイヤモンド遣いに加えて、ブレゲ「クイーン・オブ・ネイプルズ」のグラン・フー・エナメルのように文字盤の仕上げのよさも見逃せません。

野上:最近顕著に見られるのが単にダイヤモンドを添えただけではない、〝ジュエリー化〞とも呼びたい意匠の凝り方。たとえばショパールのように、従来の彫り留めからジュエリーと同じ爪留めのセッティングも出てきています。実用具である時計としての耐久性を前提としながらの、技術力の向上を感じます。


多様化するジュエリーウォッチの世界

“愛でる”という言葉が実にふさわしい、深い輝きに包まれたタイムピースの数々。ジュエラーと時計ブランドの技が競い合う。

ハリー・ウィンストン
目くるめく輝きに秘めた、ハイジュエラーの意気込み

 光とともに表情を変える“万華鏡”の名にふさわしく、カラフルな宝石遣いが目を奪う。カラーストーンとダイヤモンドの豊かな色彩、そしてラウンドブリリアントやペアシェイプなどのさまざまなカットがどこまでも深みのある表情を導き出す。ジュエラーの技を宿した1本。

ウィンストン・カレイドスコープ・バイ・ハリー・ウィンストン

ハリー・ウィンストン「ウィンストン・カレイドスコープ・バイ・ハリー・ウィンストン」
クォーツ。Pt×D×パライバトルマリン×ブルー&ピンクサファイア×ツァボライト+サテンストラップ。直径36mm。2105万円(税別)。問/ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション Tel.0120-346-376

ショパール
必見はプロングセッティング!ダイヤモンドが輝きを増して

 文字盤上をダイヤモンドが躍る代表作「ハッピースポーツ」。最新作の注目は光を取り入れる、爪留めのプロングセッティングだ。時計には難しいとされるこのセッティングをムービングダイヤモンドとベゼル&インデックスに採用。時計とジュエリーの両分野にて活躍してきたショパールの渾身作である。

ハッピースポーツ ジョワイアリー

ショパール「ハッピースポーツ ジョワイアリー」
自動巻き。WG×D+アリゲーターストラップ。直径36mm。1009万円(税別)。問/ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922

ヴァシュロン・コンスタンタン
繊細なつくりが気品漂う、女性のためのコレクション

 “オートクチュール”と“オートオルロジュリー”の融合を目指したコレクション。プリーツ模様の文字盤やドレスを縫う針のように繊細な時分秒針が装いへのオマージュを綴る。古典的な美しさの一方で、2時位置のリュウズやデイトのディスク表示がモダンな夢へと誘う。

エジェリー・オートマティック

ヴァシュロン・コンスタンタン「エジェリー・オートマティック」
自動巻き。PG×D+アリゲーターストラップ。直径35mm。302万円(税別)。問/ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755