さまざまなジャンルの有名人が愛用する時計に着目して紹介する「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は11月5日の本選挙を前に、選挙シーズンに突入したアメリカ合衆国。そんな中、現職の大統領であるジョー・バイデンは大統領戦からの離脱を表明した。現在、民主党の大統領候補として最有力視されているのは、副大統領のカマラ・ハリスだ。両氏所有の腕時計を紹介する。
Text by Yukaco Numamoto
[2024年8月4日掲載記事]
バイデン大統領、ロレックスの「デイトジャスト」を愛用!
2024年7月25日、アメリカ合衆国第46代大統領、ジョー・バイデンが米国大統領選の続投を断念した。米国では今、11月5日の本選挙を控え、民主党、共和党両党の選挙活動が活発化している。
バイデン大統領は、勘違いや言い間違いが多発しており、大統領選を戦えるのか不安視されていた。6月28日に開催されたテレビ討論会では、宿敵であるトランプ前大統領と議論を繰り広げた。だがその返答は歯切れが悪く、身内である民主党内からも国民の支持が取り付けられるのか懸念されていたほどだ。
そして迎えた7月25日、ついにバイデン大統領は大統領選から退くことを発表。「新しい世代へバトンタッチすることが、アメリカをひとつにまとめるための最善の方法だ」と、テレビ演説で伝え、ついに自分の大統領生命に幕を降ろす決断を下した。
さて、この撤退を表明したテレビ演説の動画を見てみよう。バイデン大統領の左腕にはブルー文字盤の腕時計が見受けられるはずだ。これはバイデン氏お気に入りのロレックス「デイトジャスト」である。2021年、大統領就任式でもバイデン大統領はこの腕時計を着用していた。大統領としての始まりと終わりをこの時計で飾ったとも言えるだろう。それほどのお気に入りということかもしれない。
2023年6月3日に撮影された写真。ブルー文字盤のロレックス「デイトジャスト」を着用していることが確認できる。ポリッシュベゼルを備えたこの腕時計は比較的近年のRef.126300の可能性が高い。自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。オイスタースチールケース(直径41mm)。100m防水。
バイデン大統領着用の他の腕時計
バイデン大統領は別の腕時計も愛用している。そのひとつがオメガ「シーマスター プロフェッショナル ダイバー300M クォーツ」である。副大統領時代から愛用する1本だ。
オメガ「シーマスター プロフェッショナル ダイバー300M クォーツ」
クォーツ(Cal.1538)。SSケース(直径41mm)。300m防水。生産終了。
また、前回にあたる2020年の大統領選中に、よくバイデン大統領が着用していた腕時計がある。それはセイコーの海外輸出向けモデルであるRef.SDWF72だ。この腕時計は2000年頃に発表され、当時存在していたコレクション「ル グランド スポーツ」の中の1本であった。クロノグラフ機能だけでなく、アラーム機能も併せ持っていた。
セイコー「セイコー ルグランスポーツ」Ref.SDWF72
クォーツ(Cal.7T32)。SSケース。100m防水。2000年頃発売。希望小売価格350USドル(2002年時)。生産終了。
なお、インダイアルは、6時位置には12時間制のアラームと、9時位置にスモールセコンド、12時位置には30分の積算計という配置だ。センターには1/5秒単位で計測するクロノグラフ秒針が備えられ、3時位置には日付表示が配されている。これだけの多機能を100mの防水性能を誇るケースに収め、2002年の段階では希望小売価格350USドルで購入できるというハイコストパフォーマンスな1本であった。
カマラ・ハリス
ではバイデン後の民主党の大統領候補は誰が担うのか。現副大統領のカマラ・ハリスがその最有力候補とされている。女性として、人種的マイノリティーとして、そしてアジア系として、さまざまな「史上初」のアメリカ副大統領となった人物だ。
カマラ・ハリス愛用の腕時計を紹介しよう。今回の写真は2019年にピクニックイベントへ参加し遊説を行う彼女の姿である。シャツの袖をまくり上げ、彼女のトレードマークでもある白いコンバースを合わせた装いに合わせられたのは、カルティエ「バロン ブルー ドゥ カルティエ」だ。
カルティエ「バロン ブルー ドゥ カルティエ」
カマラ・ハリスが着用する「バロン ブルー ドゥ カルティエ」は、すでに販売を終了した直径28mmのクォーツモデルかと思われる。自動巻き。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。SSケース(直径33mm、厚さ9.96mm)。日常生活防水。SS×18Kイエローゴールドブレスレット。2014年発表。
バロン ブルー ドゥ カルティエの誕生は2007年。カルティエの中では比較的新しいラインであるが、「サントス」「タンク」「パンテール」「パシャ」に続くブランドのアイコンとしてすっかりおなじみとなったコレクションである。
フランス語で“青い風船”を意味する通り、従来のラウンド型とは一線を画す、全体的に膨らみを持ったフォルムが特徴だ。ケース、リュウズ、風防、そしてケースバックに至るまでふっくらとした曲線が描かれており、リュウズは金無垢モデルではブルーサファイヤ、それ以外のモデルにはシンセティック(人工的な)スピネルが採用されている。
カルティエらしい端正なデザイン要素によって、エレガントでマスキュリンな雰囲気を漂わせながら、丸く柔らかいフォルムによって優しい印象も持ち合わせたモデルだ。
年をさかのぼって確認したところ、ハリス副大統領はこの腕時計を遅くとも2012年には着用している。また記事冒頭に掲載した、2024年の7月4日、アメリカ独立記念日にホワイトハウスで撮影された写真からこの腕時計の着用が確認できる。かなり思い入れのある1本であることは間違いない。
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