ギズベルト・L・ブルーナー
困難に立ち向かい豊作がそろった1年間
新型コロナウイルスにより、世界は息つく暇もない。人びとは苦しみ、時計産業においてもパンデミックの影響は顕著である。とはいえ、現実から目を背け、良い時代が1日も早く戻ってくるのを祈るばかりでもいられない。むしろその逆で、「今まで以上に」力をかき集め、創造力を発揮し、一致団結して立ち向かわなければならない。まさに今、こうしたポジティブな現象がスイスの多くの時計ブランドで起きている。2020年は深刻な経済危機、工場の一時閉鎖、時短労働、そして、これが最も残念なことだが、解雇の年として歴史に刻まれるだろう。その一方で、記憶に残るような、注目に値する極めて興味深い新作も発表されており、700年以上前に始まった機械式時計の歴史がまだ終わっていないことを力強く証明している。
高精度カレンダーや鳴り物機構など、魅力的な複雑機構を搭載したモデルが発表され、数世紀にわたって試行錯誤が繰り返されてきた精度向上にもさらに磨きがかけられている。新しいムーブメントも次々に開発され、品質保証期間をより長く、メンテナンス性をより一層、改善する努力もこれまで以上になされている。製品と品質に自信があるのなら、自己限定する必要はないのである。 コロナ禍は最終的にプラスの副作用をもたらすかもしれない。今回挙げたオリスとフレデリック・コンスタントのふたつのモデルは、革新的な内部機構を備えた腕時計が必ずしも高額である必要はないことを示している。
ギズベルト・L・ブルーナーが選ぶ2020年新作腕時計 BEST5
〈クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー〉 クロノメーター FB 2RE
クロノメーターFB 2REには、チェーンフュゼと1秒ルモントワール・デガリテ機構を備えたCal.FB-RE.FCが搭載されている。実現が極めて困難なこのメカニズムによって駆動されるジャンピングセコンドは見ていて飽きることがない。
〈フレデリック・コンスタント〉 ハイライフ パーペチュアル カレンダー マニュファクチュール
フレデリック・コンスタントでは、永久カレンダーとムーンフェイズ表示を備えたスポーティーな機械式腕時計を最も安価に入手できる。ステンレススティール製の掲載モデルは、自社開発の自動巻きCal.FC-775を搭載する。
〈オリス〉 アクイスデイト キャリバー 400
ツインバレルによって実現した約120時間パワーリザーブ。10年の推奨オーバーホール期間と品質保証期間。30気圧防水を備え、耐磁性も強化された新作はこうした特性を持ちながら、リーズナブルな価格を実現した。
〈パルミジャーニ・フルリエ〉 ヒジュラ パーペチュアルカレンダー
機械式腕時計の歴史において初めてイスラムの大陰暦、ヒジュラ暦で設計された永久カレンダーを搭載する。これを約48時間のパワーリザーブとムーンフェイズ表示を備えたムーブメント、Cal.PF009によって実現した。
〈パテック フィリップ〉 グランドソヌリ 6301P
Cal.GS 36-750 PS IRMは卓越したムーブメントだ。カリヨン式のグランドソヌリとプチソヌリ、ミニッツリピーターの鳴り物機構。そしてムーブメントとチャイム機構用のパワーリザーブ計とジャンピングセコンドを備える。
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