ウェイ・コー
2020年に見られた控えめなエレガンスの復活
私にとって、2020年までにもたらされた重要な変化のひとつは、控えめなエレガンスの復活だ。一見、最も美しい大きなクロノメーターに見えるこの、カリヨンとグランドとプチソヌリに、ジャンピングセコンドを搭載したパテック フィリップの複雑時計ほど魅力的なものはない。私の気に入ったディテールは、傑出したエナメル文字盤とアプライド仕上げのブレゲ数字、そして6時位置に隠されたソヌリモードを選択するためのスライドだ。
おかしいことに、私は浅岡肇を知らなかったし、彼のクロノグラフも実際に見たことがなかった。セイコーの垂直クラッチ自動巻きムーブメントと有名なマジックレバー自動巻きを使用することで、彼が信頼性と手頃な価格の時計を作ったという事実は、クロノグラフを購入できた幸運なコレクターへの贈り物のようなものだ。ブルガリはオクト フィニッシモの6年目に、モダンなアイコンを作り上げた。これは今を生きる人たちの、現代の時計である。オメガのスピードマスター“スヌーピー”は、掛け値なしに“アガる”時計だ。この時計が動いているさまを見ると、笑わずにはいられない。そしてチューダーのブラックベイは、私が新作を買うと思ってもみなかった20年に購入した初の時計だ。これは完璧に作られた時計であり、現在の時計作りにおける、最高の価値提案だろう。私は正直なところ、チューダーがどうやってこの素晴らしい時計を、この価格で提供できるのかが分からない。
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ウェイ・コーが選ぶ2020年新作腕時計 BEST5
〈パテック フィリップ〉 グランドソヌリ 6301P
ティエリー・スターンは主ゼンマイとチャイム機構のパワーリザーブインジケーターを文字盤から省こうと考えた。究極のステルスウォッチを作るためだ。しかし、実用性が最後に勝利を収めた。
〈オメガ〉 スピードマスター “シルバー スヌーピー アワード” 50周年記念
このモデルは、宇宙船の破壊的な失敗の後に、アポロ13のクルーたちが無事に帰還したことを祝うモデルである。そしてこのモデルは、今まで以上に重要となる、人に備わる回復力のシンボルであるように思える。
〈ブルガリ〉 オクト フィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ スケルトン オートマティック
このモデルの持つ匿名性の高いサンドブラスト仕上げのチタンケースと、卓越した極薄のインテグレーテッドブレスレットは、新しく、フレッシュな関連性をこのタイプの複雑時計にもたらした。
〈チューダー〉 ブラックベイ フィフティ-エイト “ネイビーブルー”
印象的なのは、毎年チューダーが時計のディテールを微妙に改良していることだ。このモデルは、ヴィンテージのコードを利用して理想的なモダンウォッチを作り上げた。ブレスレットも最高のもののひとつだ。
〈クロノトウキョウ〉 クロノグラフ
サイズ感、プロポーション、そして文字盤のイコノグラフィーやフラットなリュウズといった小さなディテールと、プッシャーのもたらす強い存在感は、パテック フィリップのRef.1463を思わせる。素晴らしい時計だ。
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