一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は国民的な人気タレントのひとり、明石家さんまの腕時計を紹介しよう!
明石家さんま
1955年7月1日、和歌山県串本町生まれ、奈良県奈良市育ちの明石家さんま(本名は杉本高文)。タモリ、ビートたけしとともに日本の「お笑いBIG3」のひとりとして数えられる国民的お笑いタレントだ。65歳となった現在も、単独司会の長寿番組「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)をはじめ、「ホンマでっか!?TV」「さんまのお笑い向上委員会」(ともにフジテレビ系)といったレギュラー番組を持つ。
芸能界での活動開始は1974年。当初は高座名を「笑福亭さんま」とする落語家であった。76年に「明石家さんま」としてテレビデビューを果たすと、関西を中心にアイドル的な人気を確立。78年に毎日放送でレギュラー番組を獲得するや、同年のうちに東京へ進出。全国区での爆発的ブレイクへとつながった。
今回は東京進出から間もなくと思われる頃と、比較的近年の明石家さんまに見受けられた愛用腕時計2本をピックアップした。
1978年頃に明石家さんまが着用していた腕時計
まず1枚目はタバコを片手に持つ若き日の明石家さんまだ。その手首に着けられている腕時計は、1978年に発表されたセイコーの「プレイボーイ」である。
セイコー「プレイボーイ」
「プレイボーイ」は、セイコーが1976年から87年にかけて展開したブランドだ。セイコーは当時、娯楽雑誌『PLAYBOY』の編集販売や、ウサギをモチーフにしたシンボルマークの商品展開などで知られる米国のプレイボーイ・エンタープライゼス社からライセンスを取得し、「ラビットヘッド」をあしらった自社製腕時計を販売していた。プレイボーイでセイコーが掲げたコンセプトは「確かな審美眼を持った意欲的な男たちの時計」「おしゃれを楽しむハイセンスな男の時計」。複数のモデルを展開し、仕様はクォーツや手巻きムーブメントを搭載する2針の薄型を基本とした。明石家さんまの着用モデルは、写真から推測するに手巻きキャリバー2220搭載機のRef.CDC478である。キャリバー2220とは、セイコーが時計のムーブメントを機械式からクォーツ式に切り替えつつあった1970年代、ミドルレンジの手巻き式時計に多く使われた24石の小型ムーブメントだ。
明石家さんまと世代が近ければ「プレイボーイ」の腕時計を懐かしく感じる方も多いのではなかろうか。雑誌の『PLAYBOY』といえば、1953年に創刊され、一世を風靡した男性誌だ(2020年3月に紙媒体の定期刊行の終了が宣言されたことを寂しく感じた人も多いだろう)。プレイボーイの腕時計は、往時の活力溢れる世相を象徴する存在であったように思われる。