ローラン・ピチョット
2020年唯一のトレンドは統合されたブレスレット
2020年に本当の深いトレンドはなかったと思っている。というのも、時計の生産と見本市が、コロナ禍で遅延したためだ。唯一のトレンドは、かつてのジェラルド・ジェンタのデザインに従って、多くのブランドがケースに統合されたメタルブレスレットを作ったことだろう。しかし、良いものを作り上げたブランドはほとんどない。即興で良いものを作れた例しはないのである。そんな2020年の5本を挙げると、まずはブルガリの「オクト フィニッシモ オートマティック」のSSモデルになる。女性用に強いブルガリが象徴的なメンズウォッチを作るとは思ってもみなかった。その極薄のムーブメントと軽いブレスレットは手首に新しい感覚をもたらした。
2番目はH.モーザーとMB&Fのコラボレーションモデル。これは時計製造の新しい解釈であり、ふたつの魅力的なブランドは、美と技術を融合した。私はロゴを見せないH.モーザーの姿勢が非常に好きだ。ウルベルクのUR-111C TTは、2種類の色を使うことで、美しいコントラストを得たモデル。ドライバーズウォッチのような時間表示の仕組みも好みだ。H.モーザーの「ストリームライナー・フライバック・クロノグラフ オートマティック」のファンキーブルーは、明確で読みやすいデザインを持っている。また非伝統的なケースと優れたブレスレットは、比肩するものがないほど魅力的な時計とした。最後に選ぶのは、MB&Fの「レガシー・マシン サンダードーム」だ。3軸の脱進機を持つこの時計は、格別なデザインを持つコンプリケーションである。
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ローラン・ピチョットが選ぶ2020年新作腕時計 BEST5
〈ブルガリ〉 オクト フィニッシモ オートマティック サテンポリッシュ
「ブルガリがたちまちアイコニックな男性用の時計と、実に多彩な世界記録の複雑時計を作るとは想像もしていなかった」。大ヒット作に加わったSS版はTiモデルとはキャラク
ターも異なり、100m防水のケースを持つ。
〈MB&F〉 レガシー・マシン サンダードーム
エリック・クドレとカリ・ヴティライネンの開発した、3軸トゥールビヨン搭載モデル。内側のケージは8秒で1回転、中間のケージは12秒で1回転、最も外側のケージは20秒で1回転する。発表自体は2019年12月。
〈H.モーザー〉 ストリームライナー・フライバック・クロノグラフ オートマティック
アジェノー製のアジェングラフを搭載した同軸フライバッククロノグラフ。ユニークな形状のケースと、非常に装着感に優れたブレスレットを備える。2020年モデルはファンキーブルーフュメ文字盤が与えられた。
〈ウルベルク〉 UR-111C TT
リニアディスプレイを備えるUR-111Cに追加された仕様違い。横に並べられた3つのディスプレイがそれぞれ時(ジャンピングアワ)、分(リニア表示)、分(回転表示)を示す。2020年限定版はケースが2トーンに改められた。
〈MB&F×H.モーザー〉 レガシー・マシン 101 MB&F×H.モーザー
「ブランドを示すものはないし、ロゴもないが、美しくて機構も十分だ。持ち主のみが分かる時計だし、私はこういう在り方が好きだ」。MB&FのLM101を「モーザーナイズ」したモデル。文字盤のカラーは4種類ある。
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