Riiiver搭載機としての実力
スマートウォッチらしからぬ簡潔さを持つラクスチュアは、操作性もやはりシンプルだ。スマートフォンに専用アプリをインストールし、Bluetoothでラクスチュアと接続した後、2時位置と4時位置のボタンに表示したい機能を割り振りするだけ。天気、世界時計、スケジュール、タイマー、月齢、温度、日の出日の入り、波情報、空気質指数といった各種表示は、ボタンを1度、または2度押すだけで呼び出せる。正直、スマートウォッチとしては最も簡単に使えるものだろう。
加えてラスクチャーでは、今までのスマートウォッチにはない機能を使うことができる。それが、ヴェルトとシチズンが共同開発した、サービス・プラットフォームの「Riiiver(リィイバー)」だ。Riiiverとは、「トリガー」「サービス」「アクション」の3パーツをアプリ上で組み合わせるだけで、自分だけのオリジナル機能「iiidea(アィイデア)」の製作や共有が可能というもの。
自分にとって必要なソフトウェアを製作し、ラクスチュアで使うことができるだけでなく、すでに存在する100以上のサービスを使うことができるというものだ。ヴェルトは控えめにしかアナウンスをしていないが、IoTデバイスとネットサービスをつなげるサービスをスマートウォッチで使えることが、極めて画期的なのである。
Riiiverの使い方を例示したい。時計のボタンを押すことで、今自分がいる場所を家族にメールで知らせ、送信が完了したら光でそれを知らせるとする。普通ならばプログラムを打つ必要があるが、Riiiverではそれぞれのトリガー(T)と、サービス(S)と、アクション(A)を組み合わせるだけ。もちろん、ソフトウェアに慣れた技術者ならば、より高度な機能をラクスチュアに行わせることが可能になる。表示する情報を過不足なく伝えるだけでなく、そのカスタマイズも可能というのは。類を見ない試みだ。
ソフトウェアを作りたくない人は、すでに出来上がったソフトウェアを使うこともできる。これも簡単だ。アプリを起動させて、iiideaストアを開くだけ。ストア内では、キーのロック/ロック解除、雷確率といった、他にはないユニークなソフトウェアが見つかる。ちなみにオリジナルソフトのセッティングは、標準のものと同じ。2時位置か4時位置のボタンに操作を振り分ければ、自分専用のソフトをラクスチュアで使うことができる。
IoTプラットフォームとしての未来
スマートウォッチらしからぬ意匠と、時計としての高い完成度を両立させたラクスチュア。光と振動で情報を伝えるというアイデアも、時計としてのバランスを破綻させることなく、見事にビルトインされている。しかしこのモデルを、ヴェルトが追求してきた、洗練されたスマートウォッチの完成形と見なすのは早計だろう。ラクスチュアがはるか先に示すのは、スマートウォッチ、つまり「時計」がIoTのプラットフォームになりうる、という大きな未来なのである。
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