英国人時計師ジョン・アーノルドの名前を冠した「アーノルド&サン」は、ハイエンドな伝統的時計作りを続けるシチズン傘下のウォッチメーカーだ。今回は同ブランドを代表するムーンフェイズウォッチ、「HM パーペチュアル・ムーン」に新たに追加された黒曜石文字盤モデルを紹介する。
Text by Mark Bernardo
アーノルド&サン「HM パーペチュアル・ムーン」
世の中にムーンフェイズを搭載した時計は多くあるが、18世紀に英国で活躍したマリーンクロノメーターのパイオニア、ジョン・アーノルドの名を冠したスイスのウォッチメーカーであるアーノルド&サンの手掛ける「HM パーペチュアル・ムーン」は、真にムーンフェイズ機構が時計全体を支配している数少ないタイムピースのひとつだ。ダイアルの1/3以上を占めるムーンファイズは、センターに配された時分針をも凌ぐ存在感を放っている。
メキシコで採掘されるゴールドに輝く黒曜石を文字盤に使用した限定モデル。手巻き(Cal.A&S1512)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。18KRG(直径42mm、厚さ11.43mm)。3気圧防水。世界限定28本。
黒曜石文字盤のモデルが追加
そんな同モデルに、珍しい素材を文字盤に使用した最新作が追加された。18KRG製の42mm径ケースに合わせられているのは、メキシコ産のゴールドに輝く黒曜石だ。この火山由来の半貴石は、中米で採掘されてきた長い歴史があり、コロンブスが上陸する以前には現地人の宗教儀式に使われていた。
輝きのあるブロンズのような表面は科学的組成によるもので、高含有量の二酸化ケイ素によって硬度と輝き、そして結晶を保持している。剣型の針にはロジウムプレートが施され、楔形のアプライドインデックスはダイヤモンドポリッシュ仕上げのホワイトゴールド製だ。
同じくロジウムプレートが施されているのは、このタイムピースの最大の魅力である、大きく非常に写実的な、手仕上げのエングレービングが施されたムーンディスクだ。文字盤上部の大きく開いた半円形の開口部において、星が散りばめられたブルーラッカーを背景に満ち欠けする。ブランドの精神と協調し、時間計測を行ってきた歴史を背景に、ムーンフェイズは単に目を引く存在であるだけでなく、非常に高精度だ。その精度は、実際の月のサイクルに対して122年にわずか1日の差が生じるものとなっている。
HM パーペチュアル・ムーンにはスイスのラ・ショー・ド・フォンにあるアーノルド&サンの工房で完全に自社開発されたムーブメント、手巻きCal.A&S1512が搭載されている。高精度なムーンフェイズの長所を最大限引き出させるために、ケースバックには月齢表示調整用インジケーターが備わる。
ムーブメントは特筆すべき大きなシングルバレルを備えており、2万1600振動/時の振動数と相まって、約90時間ものパワーリザーブを実現している。ダイヤモンドカットをはじめとするムーブメントの仕上げもビジュアル的には訴求力が強い。地板のコート・ド・ジュネーブ、青焼きのポリッシュ仕上げの針、サーキュラーサテン仕上げが施された歯車や面取りがなされたブリッジなどは手が込んでいる。
アーノルド&サンの新しいHM パーペチュアル・ムーンは僅か28本の限定で、全てにムーンフェイズの星月夜を反映したシルバーのステッチ入りのブルーアリゲーターストラップが合わせられ、18Kローズゴールド製の尾錠が付属している。
Contact info: アーノルド&サン相談室 Tel.0570-03-1764
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