お金も入ったし、いい時計を買おうと思ったあなた。ウェブや雑誌を見たら、ゼンマイで動く機械式時計は高級らしい、趣味としても面白いらしいとある。では、何を買えばいいの?そしてどう使えばいいの?数々の時計を買ってきてやらかした編集長、渾身の12のアドバイスです。
1974年、大阪府生まれ。2ちゃんねるのコテハンとして活躍した後、脱サラして時計ジャーナリストに転身。いつの間にやら業界ご意見番に。多くの時計専門誌に寄稿する傍ら、『クロノス日本版』では創刊2号から主筆を務める。2016年より編集長に就任。
いきなり高額な時計は買わないほうがいい、かも?
身も蓋もないアドバイスになりますが、いきなり高額な時計は買わない方がいいです。こんなこと書いたら文句言われるのは承知の上ですが、G-SHOCKをこき使ってきた人たちが、いきなり高額な機械式時計を買っても壊すでしょう。高価な時計は、安価な時計に比べて正確でも頑強でもありません。値段が高い理由は、手間が掛かっているから、だけなのです。
もちろん今の機械式時計は、昔のものに比べて丈夫になりましたが、G-SHOCKとは違うということは強調したいと思います。でも、やっぱり機械式時計を買いたいという人がいたら、以下をお読みください。
まず見るべきは防水性能、着けたまま手洗いするなら100m以上を
もしあなたがその機械式時計を普段使いしたいなら、防水性能はチェックすべきです。時計を着けたまま手洗いをしたい人は、最低100m防水(10気圧防水)の時計を買ってください。
30m防水(日常生活防水、3気圧防水)の時計は、雨を防ぐ程度と考えた方がいいでしょう。もし泳ぎたいなら、200m防水(20気圧防水)以上は必須です。
デスクワークでなら「新しい」自動巻きがおすすめ
機械式時計には、リュウズを自分で巻いて時計を動かす手巻きと、腕を振ればゼンマイの巻き上がる自動巻きの2種類があります。手巻きは時計好きに好まれますが、定期的にゼンマイを巻くという手間があります。初めて機械式時計を買う人には、自動巻きをお勧めします。
もっとも、自動巻きを選ぶにもコツがあります。もしあなたがデスクワーク主体で、腕を動かさない人ならば、新しい設計の自動巻きを買うといいです。新しい設計の自動巻きは、あまり腕を動かさなくてもよく巻き上がるという特徴があります。ウェブや雑誌を見て、パワーリザーブが約50時間以上(理想を言えば約70時間以上)ある自動巻き時計は、新しい設計と判断して良いでしょう。
また、古い設計であっても、片方向巻き上げの自動巻きはデスクワークで良く巻き上がります。時計を振って、ローターが一方向にグルグル空転し続けるのが片方向自動巻の見分け方です。
薄い時計はカッコいい! でも「壊さない人専用」
薄い貴金属製の時計は、ヨーロッパにおけるステータスシンボルです。とりわけ、ローマ数字のインデックスを持つ2針の時計は、最高にステータスがあると言われています。
ただし薄い時計はショックに弱く、磁気帯びしやすく、防水性能も低いというデメリットがあります。丁寧に使えばまったく問題ありませんし、今の薄型は以前のものに比べて丈夫になりましたが、普通の時計と同じ気分で使うと必ず壊します。
とりわけ最近問題なのは、磁気帯びです。薄い時計がステータスであるという理由はふたつあります。ひとつ目は、薄い時計を作るのが大変で、希少価値があること。もうひとつは、それを壊さないような人しか持てないため、なのです。もし普段使いを考えるなら、自動巻きでケースの厚さ10mmは欲しいところです。
厚い時計はカッコいい! でもシャツの袖にちゃんと収まる?
長袖のシャツを着ない人なら、時計の厚みは何mmでもかまいません。カジュアルな服装の人も同じです。
しかし、スーツを着る人ならば、時計の厚みはとても大事です。一番チェックすべきは、シャツの袖口にちゃんと収まること。これが最低限の条件です。数字を言うと、15mm以内、理想は13mm以内でしょうか。事実、定番と言われる時計の多くは、この厚さの範囲内に収まっているはずです。もっとも、腕が太い人ならば、17mmmでも袖口に収まるでしょう。
時計選びで大事なのは、直径よりも“全長”
意外と気になるのは時計のサイズ。その際見るべきは、時計の直径よりも全長です。12時方向から6時方向の全長が、腕から飛び出していなければ基本OKです。もちろん飛び出していてもまったく問題ありませんが、最初に選ぶ時計なら、腕への収まりが良い方がいいでしょう。
もっとも、全長が飛び出す飛び出さないは、実物を腕に置かないと分かりません。時計店で確認することをオススメします!