【インタビュー】ティソ CEO「シルヴァン・ドラ」

2021.01.21

2020年7月1日にティソCEOに就任したシルヴァン・ドラは断言する。「日本はティソにとって、とても重要な市場です。特に東京は感度の高い人たちがどこよりも多く集まる都市だと認識しています。そして、日本の人たちは時計についても鋭い審美眼を兼ね備えています」。

鈴木幸也(本誌):取材・文 Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)


〝物が持つ本質〟を好む日本人はティソに通じる

シルヴァン・ドラ

シルヴァン・ドラ
1972年、フランス生まれ。トゥールーズ・ビジネススクールで修士号を修めた後、通信業界を経て、2004年にスウォッチのハイテク&アクセス部門責任者として時計業界に参画。マイクロソフトとの共同プロジェクト「スウォッチ・パパラッチ」などに携わる。翌年、ハミルトン本社のインターナショナルセールス部門トップに就任。11年にはハミルトンのCEOに着任し、ブランドをさらに発展させる。20年、7月1日より現職。

 実際、ティソはこの10年間で日本でのシェアを高めてきた。19年には東京・代官山にティソの世界観を表現した初のコンセプトストアをオープンしたほどだ。グローバルでの認知度は世界トップ5に入るティソだが、日本での認知度はまだ十分とは言えない。その問いにドラはこう回答する。

「代官山にコンセプトストアをオープンし、質の高いスイスネスとティソの世界観を多くの人に体験してもらっています。167年という長い歴史が物語るように、ティソはとてもユニークなブランドです。伝統的なスタイルからスポーツウォッチまでバリエーションも豊富です。第一線で活躍する経験豊富なビジネスパーソンから、鋭い感性を持った若い世代の人々にまで選ばれる存在でありたいと思っています」

 実は、ティソは世界的にはスポーツとの関わりが深いことで知られている。

「特にNBAとツール・ド・フランスとの絆など、歴史だけでなくさまざまなストーリーを持っていることを、もっと多くの日本の人々に知ってもらえればと思います」

 1853年の創業以来、“innovators bytradition”(伝統に根差し、伝統を打ち破るイノベーター)として革新的な時計を作り出し、本質を求める人々のために「本物の時計」を作り続けているティソ。1999年に登場した「T-タッチ」は、まさに時代を先取りした好例と言える。2020年秋には「T-タッチ」の最新世代となる「ティソ T-タッチコネクトソーラー」をまずはスイス市場で発表した。日本での発売は22年の予定というが、ドラはティソCEOに就任する前からこのプロジェクトに3年以上にわたって携わってきた。このことからも、ドラが伝統的な時計作りはもちろん、デジタル面においてもティソのプレゼンスの強化を図っていることが読み取れる。だが一方で、伝統に根差したプロダクトをも併せ持つティソのユニークさを強調する。

「ティソのアイコニックウォッチである1916年に誕生した『ティソ ヘリテージ バナナ』は日本でとても好評です。100年以上経った現在でもモダンで洗練されたこのモデルは、他のブランドには成し得ません。日本の人々は〝物が持つ本質〞や製品が持つストーリーを好みます。これはまさにティソに通ずる点であり、きっとティソをもっと知ってもらえれば、さらに受け入れてくれると思っています」

ティソ ティソ ジェントルマン オートマティック

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Contact info: ティソ Tel.03-6427-0366


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