一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は映画監督、庵野秀明の腕時計2本を紹介しよう!
庵野秀明
1960年5月22日生まれ、山口県宇部市出身の庵野秀明。「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ(1995年~)をはじめとしたSF系のバトルアクションやロボットアニメを得意とするアニメーター、映画監督だ。大阪芸術大学の在学中にテレビアニメ「超時空要塞マクロス」の制作に加わり注目を集める。まもなく宮崎駿監督の映画「風の谷のナウシカ」で庵野の原画が採用されると、大学中退してこれに参加し、主にクライマックスの巨神兵登場のシーンを担当して大きな脚光を浴びた。そして88年にアニメ「トップをねらえ!」で初監督デビューを果たすに至る。
若い頃から溢れる才能を発揮してきた庵野秀明。近年では監督業以外でもひっぱりだこだ。スタジオジブリ「風立ちぬ」では主人公・堀越二郎役の声優を務めたり、2020年には岩井俊二監督の映画「ラストレター」で俳優に挑戦したりと監督の枠を超えて活動の幅を広げている。
今回は、そんな庵野秀明に注目し、2枚の写真に写る腕時計にフォーカスしてみた。
2014年8月に庵野秀明が着用していたジンの腕時計
まず1枚目は、2014年8月26日に東京の六本木ヒルズで開催された第27回「東京国際映画祭」で記者会見に応える庵野秀明の姿だ。その手首に着けられている腕時計は、おそらくドイツブランド「ジン」の基幹シリーズ「103」のクロノグラフモデル、「103.TI.AR」だろうと推測された。
ジン「103」
元ドイツ空軍のパイロットだったヘルムート・ジンが率いるドイツブランド「ジン」。創業年は1961年で、社名は「ヘルムート・ジン特殊時計社」だ。当初はルフトハンザ航空向けにコクピットクロックなどを製作していたが、やがて航空機器に近い作りの高機能な腕時計の製造も始めるようになる。その流れで60年代後半から作られ始めたのが、防水ケースに入った視認性の高いクロノグラフの「103」シリーズだ。103の初期と現行モデルとの違いは手巻き式から自動巻きへと変わったことをはじめ、回転ベゼルのデザイン、リュウズガードや曜日表示の有無、Sinnロゴの書体が若干異なる点などがある。しかし、基本コンセプトやデザインは現在も当時と同じだ。
なお103は、2018年6月10日以降の出荷分からジン独自の除湿機構「Arドライテクノロジー」を標準装備している。ジンは他分野から積極的に特殊技術を導入することでも知られ、他にもパーツの円滑な運動を促す「特殊オイル 66-228」や、電磁波を遮蔽する[Q]テクノロジーなどを有する。
またジンはシリーズ名を数字で整理する。合理的なブランドの体質もユニークだ。