ゼニスより1969年に発表されたエル・プリメロ Ref.385をリバースエンジニアリングを屈指して忠実に復刻した「クロノマスター リバイバル A385」が登場。オリジナルモデルの販売当時は一般的でなかったグラデーションダイアルもしっかりと再現されている。
Text by Mark Bernardo
2021年1月27日掲載記事
リバースエンジニアリングで1969年のRef.A385を忠実に復刻
自動巻き(Cal.エル・プリメロ400)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径37mm)。5気圧防水。85万円(税別)。
近年、ノスタルジーは時計愛好家にとって力強いキーワードであることが証明されている。そこでゼニスは自らのアーカイブを掘り起こし、魅力的であると同時に希少なタイムピースを現代の顧客に対して復刻した。2020年、ゼニスは1969年に発表された初代エル・プリメロからインスピレーションを得たバリエーションを2本発表している。ひとつはRef.A384、そしてもうひとつはRef.A386だ。
そして今年、周囲の期待に応えるように、同じく69年に発表されたRef.A385復刻した「クロノマスター リバイバル A385」を投入。オリジナルのA385は、当時としては極めて珍しいスモーク掛かったグラデーション文字盤を備えていた。
既存の復刻版同様、クロノマスター リバイバル A385は、69年のオリジナルにできるだけ忠実であるため、オリジナルの設計図と当時の生産計画を用いた、いわゆるリバースエンジニアリングが用いられている。
オリジナルは1979年のオペレーション・スカイで有名
ステンレススティール製ケースはオリジナルと同じ直径37mmのトノー型で、この時代のクロノグラフによく見られる小ぶりなポンプスタイルのプッシャーが採用されている。愛好家の間でオリジナルのA385は、79年にゼニスが行なった「オペレーション・スカイ」と呼ばれる過酷なテストに使用されたことで知られる。
より具体的には、エールフランスのボーイング707のランディングギアにA385をくくりつけ、パリ〜ニューヨーク間をフライトさせた。A385は強風と温度変化、気圧の低下などにさらされたにも関わらず、到着後も変わらず稼働し続けていた。
基本的に忠実な復刻がされているが、オリジナルとの相違がないわけではない。アクリル製風防はドーム型サファイアクリスタル製風防に置き替えられているし、69年当時は一般的であったソリッドケースバックは、サファイアクリスタル製トランスパレントバックに変更されている。
発売当時は珍しかったグラデーション文字盤
スモークブラウンのグラデーションがかった文字盤は、外周に向かうにつれて色が濃くなっていく。また、シルバーホワイトのインダイアルや明るいレッドのクロノグラフ秒針もオリジナルのカラーに同じだ。
「フュメ」またはグラデーションとも呼ばれる文字盤のカラー技法は、現在のレトロブームの後押しを受け、いくつものメーカーが採用しているが、ゼニスが50年以上前にこのタイプの文字盤をRef.A385で投入した時は、まだ一般的ではなかった。
トランスパレントバックからは、ゼニスのCal.エル・プリメロ400が3万6000振動/時で稼働している。69年に登場したエル・プリメロのムーブメントは半世紀をかけ磨かれ続けてきた。
クロノマスター リバイバル A385は69年の精神を呼び起こす、ブレスレットとストラップで、そのヴィンテージ調外観を完成させている。ひとつはステンレススティール製ラダーブレスレットで、初期のエル・プリメロに見られたゲイ・フレアー製ブレスレットを現代的に解釈したものだ。もうひとつは、ライトブラウンのカーフレザーストラップで、使用に従い独特な経年変化をもたらすようデザインされている。
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