大統領就任式でのミトン着用姿が話題、バーニー・サンダース議員の選ぶ腕時計は?

一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回はアメリカ合衆国の政治家、バーニー・サンダース上院議員の腕時計を紹介しよう!

バーニー・サンダース

バーニー・サンダース

Photograph by ZUMA Press/AFLO

 1941年9月8日生まれ、ニューヨーク出身のバーニー・サンダース。2016年にはヒラリー・クリントン、20年にはジョー・バイデンとアメリカ大統領選における民主党の代表選出で接戦を繰り広げた上院議員である。そのサンダースが最近、再び注目を浴びている。2021年1月20日のアメリカ大統領の就任式で見せた姿が話題なのだ。参加者の多くが華やかにドレスアップし、レディー・ガガやジェニファー・ロペスといったセレブたちがパフォーマンスをする中で、サンダースは分厚い防寒ジャケットと、厚手の柄入りミトンを着用して現れた。普段着に近いカジュアルな装いに「上院議員らしくないが、親近感がわく」といった声がわき、SNSではパイプ椅子に足を組んで着席する彼のコラージュ画像が出回ている。その姿をモチーフにしたグッズのチャリティー販売まで行われ、なんと約1億8800万円相当もの資金が調達されたと発表されたほどだ。

 そんなサンダースの選ぶ腕時計とは何だろうか。今回は2020年2月に遊説を行った際の彼の姿をピックアップして紹介しよう。

エコ・ドライブ

 実はサンダースの腕元には、何年かにわたり同一と思われる腕時計が確認されてきた。それは日本のメーカー、シチズンのエコ・ドライブ搭載機だ。


シチズンのエコ・ドライブ搭載機

エコ・ドライブ

バーニー・サンダースが着用するのと同一と思われるエコ・ドライブ。ステンレススティール製。価格帯は180~200USドル程度で、北米では2003年5月に発売された。

 サンダースの着用モデルとして推測されるのは、3針とカレンダー表示、バーインデックスを備えた黒文字盤と、フルメタルの外装を組み合わせたエコ・ドライブ搭載機だ。北米において同一の意匠を備えるモデルは2003年より発売されている。エコ・ドライブといえば、太陽光や室内のわずかな光を電気に換えて時計を動かし、余った電気を2次電池に蓄えるシチズン独自の技術である。

 シチズンは海外展開を1936年よりアジア諸国向けの輸出からスタートしており、現在までにその市場を約140の国と地域へと広げてきた。エコ・ドライブの、そして現代ではすっかりおなじみとなったソーラー時計の祖である「クリストロン ソーラーセル」は、発表された76年より海外でも展開されており、早期より環境保護の観点を世界へ謳うマイルストーンとなったモデルだ。開発された70年代は第1次オイルショックを背景に、省エネルギー、省資源といったことに人々の関心が強く寄せられた時代でもある。「電池交換が不要の止まらない時計」を目指して生まれたソーラー時計の技術は、環境先進国のドイツをはじめ世界から高く評価を受けてきた。そのDNAを継ぐエコ・ドライブは現在もシチズンを代表する技術のひとつとして脈々と進化を遂げている。

 サンダースは環境問題への対策を重視する政治家として知られている。その観点が腕時計の選択にも表れたのかもしれない。

クリストロン ソーラーセル

1976年に世界初の太陽電池充電のアナログ式クォーツ腕時計として発表された「クリストロン ソーラーセル」。単結晶シリコン太陽電池を8枚使用することで最大5年間、充電なしで動き続けたソーラー時計の祖だ。

キャリバー100

⾃律型光発電腕時計として世界最⾼精度の「年差±1秒」を達成したシチズンの最新ムーブメント「Caliber 0100」にもエコ・ドライブの技術が採用されている。「ザ・シチズン」。光発電エコドライブ(cal.0100)。SSケース(直径39mm、厚さ9.7mm)。5気圧防水。77万円(税別)。2020年発表。

 
高井智世

2021年1月29日掲載記事


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