ボタン式とバータイプ式、使い勝手に優れるクラスプは?
続いて、ブレスレットとクラスプの違いも見ていこう。両モデルとも、ダイバーズ用のエクステンション機構を装備。オリスの1.3cmのエクステンションは、3mm厚のダイビングスーツの袖であれば対応するが、ジンは3.4cmのエクステンションを備えており、一般的な5mm厚のウェットスーツにも十分に対応する。
両ブランドとも、安全機構付きのフォールディングクラスプを採用しているが、ここはオリスに分があるようだ。というのも、ジンは指の爪でセーフティーバーを開ける昔ながらの方式を採用しているのに対し、オリスはふたつのプッシュボタンで固定するため使いやすいのだ。もっとも、一度手首に巻いてしまえば、どちらの時計も同じくらい装着感は快適である。
気になる価格は?
では、内部はどのように見えるだろうか? オリスのシースルーバックからは、おなじみの赤いローターを備えた、セリタCal.SW200ベースのキャリバー733がしっかりと確認できる。クオリティ面では、装飾されていないムーブメントは構造的にETA2824と同じだが、オリスはインカブロックの耐震衝撃装置を用いるなど、ハイクオリティな要素を追加している。
自動巻き(Cal.Oris 733)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS(直径41.50mm)。30気圧防水。24万円(税別)。(問)オリスジャパン Tel.03-6260-6876
一方のジンは、スリムなセリタ製SW300を搭載。ソリッドバックのため中身を確認することはできないが、ロジウムプレートのパーツやポリッシュ仕上げのブリッジ、青焼きのネジなど、目を引きつける装飾が施されている。このムーブメントの源流はETA2892だ。いずれも量産されているので信頼性は確立されているが、ジンはグルシデュール製のテンプを採用してクオリティを高めているのに対し、オリスはシンプルなニッケル製となっている。
この違いはパフォーマンスの数値にも表れている。測定したところ、U50はわずかに姿勢差はあるものの、最大姿勢差は5秒を記録し、平均日差も+5秒以内をマーク。片やアクイス デイトは、平均日差こそ+6.2秒といういい数値を記録しているが、最大姿勢差は13秒となった。つまり、ジンよりも姿勢差の影響があるということだ。
自動巻き(Cal.SW300-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Uボート・スチール(直径41mm、厚さ11.15mm)。500m防水。35万円(税別)。(問)ホッタ Tel.03-6226-4715
価格については、オリスが24万円(税別)とリーズナブルなのに対し、ジンは35万円(税別)。もちろん、どちらも価値あるタイムピースだが、ジンテクノロジーで実現したダイバーズウォッチとしての高いスペックとムーブメントの性能を考慮すれば、U50の方がコストパフォーマンスの高さを感じられる。
ジンはU50を、高い防水性能を備えた、一切の妥協がないプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチとして設計した。回転ベゼルは耐傷性に優れ、紛失の心配もない。計器のようなデザインは実用時計愛好家の琴線をも刺激するだろう。もちろん、アクイス デイトでも安全にダイビングを楽しめるが、こちらの方が日常生活でも端正に見えるよう、より複雑にデザインされている。では、結論はどうか? 両モデルとも、サイズが小さくなったことを心配するには及ばない。なぜなら、どちらも十分な大きさを維持しているのだから。
技術仕様 比較
比較モデル: | オリス「アクイス デイト」 | ジン「U50」 |
リファレンスナンバー: | 01 733 7766 4135-07 8 22 05PEB | 1050.010 |
機能: | 時、分、秒、日付表示 | 時、分、秒、日付表示 |
ムーブメント: | Cal.Oris 733(セリタSW200ベース)、自動巻き、2万8800振動/時、26石、ストップセコンド機能、クイックコレクトデイデイト、緩急針と偏心ネジによる微調整、耐震軸受け(インカブロック使用)、ニッケル製テンプ、パワーリザーブ約38時間、直径25.6mm、厚さ4.6mm | セリタSW300-1プレミアム、自動巻き、2万8800振動/時、25石、ストップセコンド機能、クイックコレクトデイト、緩急針と偏心ネジによる微調整、耐震軸受け(インカブロック使用)、グルシデュール製テンプ、パワーリザーブ約42時間、直径25.6mm、厚さ3.6mm |
ケース: | ステンレススティール製ケース、スケールのついたセラミックス製ベゼルサファイアクリスタル製風防(片面無反射加工)、ミネラルガラス製裏蓋、ねじ込み式リュウズ、30気圧防水 | Uボート・スチール製ケース、テギメント加工が施されたベゼル、フラットサファイアクリスタル製風防(両面無反射加工)、Uボート・スチール製ケースバック、ねじ込み式リュウズ、500m防水 |
ストラップ&バックル: | 折り込み式エクステンション内蔵のフォールディングクラスプ付きステンレススティール製ブレスレット | 折り込み式エクステンション内蔵のフォールディングクラスプ付きステンレススティール製ブレスレット |
サイズ: | 直径41.5mm、厚さ13mm、重量146g(実測値) | 直径41mm、厚さ11.15mm、重量148g(実測値) |
価格: | 22万円 | 35万円 |
精度安定試験(T24の日差 秒/日、振り角)比較
オリス | ジン | |
文字盤上 | +12 | +6 |
文字盤下 | +10 | +7 |
3時上 | +5 | +6 |
3時下 | +3 | +4 |
3時左 | +8 | +2 |
3時右 | -1 | +4 |
最大姿勢差: | 13 | 5 |
平均日差: | +6.2 | +4.8 |
平均振り角: | ||
水平姿勢 | 297° | 300° |
垂直姿勢 | 278° | 274° |
オリス「アクイス デイト」評価
ブレスレット&バックル(最大10pt.) | 7pt. | 操作しやすいフォールディングクラスプが付属した端正なスティール製ブレスレット。エクステンションはウェットスーツの袖に程よい長さ。 |
操作性(5pt.) | 4pt. | ねじ込み式リュウズと回転式ベゼル、ふたつのプッシュボタンがついたクラスプは使いやすい。 |
ケース(10pt.) | 8pt | ネジ留め式リュウズプロテクターのついた細部にまで目が行き届いたケース。ポリッシュとサテン仕上げを組み合わせた表面、ベゼルのアンチスクラッチのセラミックス製スケール、必要以上の防水性能。 |
デザイン(15pt.) | 14pt. | 機能とスポーティーさの融合に成功しつつ、エレガントな要素を持つ。 |
視認性(5pt.) | 4pt. | 日中でも夜間でも時間の視認性は迅速に行える。 |
装着性(10pt.) | 10pt. | ブレスレットの手首へのなじみは良い。 |
ムーブメント(20pt.) | 13pt. | 装飾性を省いたシンプルで堅牢性のあるキャリバー。 |
精度安定性(10pt.) | 7pt. | 平均日差は小さいが、姿勢差が大きい。 |
コストパフォーマンス(15pt.) | 13pt. | コストパフォーマンス良し。 |
合計 | 80pt. |
ジン「U50」評価
ブレスレット&バックル(最大10pt.) | 8pt. | スティールを切り出したのではなく、抜き出した安全性の高いフォールディングクラスプが付属したソリッドステンレススティール製ブレスレット。ダイバーズエクステンションは適切な長さ。 |
操作性(5pt.) | 4pt. | リュウズと回転ベゼルの操作はしやすいが、クラスプを開けるのに爪を使用する必要がある。 |
ケース(10pt.) | 9pt | 塩水に強い潜水艦用スティールからつくられた、すっきりとしたケース。キズに強く、紛失の恐れがない回転ベゼル。防水性は必要十分以上に担保されている。低水圧にも対応。適切に無反射加工が施された風防。 |
デザイン(15pt.) | 12pt. | 計器を思わせる妥協のない機能的なデザインに由来する、ツールウォッチとしての外観が持つ訴求力。 |
視認性(5pt.) | 5pt. | 強いコントラストと夜行塗料のため、どのような状況下でも時間と潜水時間の読み取りはしやすい。 |
装着性(10pt.) | 9pt. | 小さくスリムなフォーマットで手首へのなじみはよく、トップが重すぎることもない。 |
ムーブメント(20pt.) | 12pt. | ジンはセリタの信頼性の高いキャリバーのトップクオリティバージョンに控えめな装飾模様を付加。 |
精度安定性(10pt.) | 8pt. | あらゆる姿勢で数値は安定しており、平均日差は極めて小さく、振り角も安定している。 |
コストパフォーマンス(15pt.) | 14pt. | この時計の持ち味を大きく改善している採用された多くの革新的な技術を考慮すると、喜ばしいことに低価格といえる。 |
合計 | 81pt. |
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