一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は俳優・渡辺謙がプロ野球の観戦中に着用していた腕時計を紹介しよう!
渡辺謙
1959年10月21日生まれ、新潟県北魚沼郡出身の渡辺謙。高校卒業後の78年に劇団へ入所して、82年にテレビデビューを果たす。それからわずか5年で主役の座をつかんだNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」では、大河ドラマ史上最高の平均視聴率39.7%をたたき出した記録を持つ。
2003年にはトム・クルーズ主演の「ラスト サムライ」でハリウッドに進出。以降、クリストファー・ノーラン監督の「バットマン ビギンズ」や「インセプション」、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」などに出演してきた。国際派俳優としてハリウッドで活躍する傍ら、「沈まぬ太陽」や「許されざる者」「Fukushima 50」など日本映画への出演も続けている。
今や日本を代表する俳優となった渡辺謙。その素顔に本コラムの目線から注目していくと、あるキャラクターを知ることができた。それは大のカルティエ ウォッチの愛好家であることだ。レッドカーペットの上ではサントスやタンク、バラエティー番組ではトーチュやバロン ブルーなどの着用が確認された。
これに加えてもうひとつ、プロ野球チームの阪神タイガースファンであることも有名だ。ハリウッドに活動拠点を移した後でも、帰国した際には精力的に甲子園球場へ応援に出掛けており、バックネット裏で試合に一喜一憂する姿も頻繁に確認されたいる。渡辺謙の映画デビュー作は、夏目雅子の遺作である「瀬戸内少年野球団」だ。兵庫県の淡路島を舞台にした作品であり、野球をテーマにしていることも、熱烈なタイガースファンである渡辺謙との縁を感じさせて興味深い。
今回は、18年4月21日に甲子園球場で試合前の練習を観覧していた時の渡辺謙の姿をピックアップした。カルティエ ウォッチと阪神タイガース、好きなものに囲まれた素顔の彼が、ヒョウ柄のTシャツに合わせてこの時に選んでいた腕時計は、カルティエのスポーティーウォッチに位置付けられる「パシャ」の腕時計であった。
カルティエ「パシャ」
モロッコ・マラケシュのパシャ(太守)の「自宅のプールで泳ぐときに着けられる時計がほしい」 という依頼で作られたのが、カルティエ「パシャ」の始まりだ。リュウズプロテクターやラグの形状に特徴を持つ、カルティエ初の防水時計である。市販化されたのは1943年で、本格的に「パシャ ドゥ カルティエ」としてコレクションに加わったのは85年のことだ。以来、パシャはカルティエのスポーティーなアイコンモデルとして定着してきた。
その派生モデルとして2006年に発表されたのが「パシャ シータイマー」である。逆回転防止ベゼルや、100mの防水性能、蓄光塗料付きの時分針といったダイバーズウォッチに近い特徴を備え、よりスポーティーに仕立てられたシリーズだ。渡辺謙の着用モデルは、この2006年に発表された黒文字盤モデルだと思われる。
「パシャ シータイマー」は生産を終えているが、パシャの系譜では「パシャ ドゥ カルティエ」が2020年にリニューアルを遂げたことが記憶に新しい。ケースサイズは35mmと41mmで、ムーブメントは自社製のCal.1847 MC。100mの防水性能を備えながら、41mmモデルでもケースの厚さが9.55mmと薄く抑えられていることからフォーマルな装いにも合わせやすい。このリニューアルではユーザーのおしゃれ心をくすぐる要素がさらにふたつ加えられた。ひとつはブレスレットやストラップをワンプッシュで付け替えできる「クイックスイッチ」システムの採用、もうひとつはリュウズカバーだけでなく、その内側に収まるリュウズ自体にもサファイアやスピネルのカボションが取り付けられたことだ。針はもちろんカルティエの伝統にならった青焼き針である。
カルティエ愛好家として知られる渡辺謙。パシャの選択には「スポーツ観戦に燃える瞬間でも、いつでもエレガントに」という気持ちが見えるようである。
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