1921年生まれのカルティエ「タンク サントレ」は、2021年で100周年を迎える。ブランドの象徴的なモデルの周年を祝って、カルティエは18Kイエローゴールドの記念限定モデルを発表した。このモデルは手巻きキャリバーを搭載し、世界限定150本のみが生産されたが、驚くべきことに発売前に完売してしまったのだ。
手巻き(Cal.9780 MC)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約36時間。18KYG(縦46.3×横23mm、厚さ6.4mm)。非防水。世界限定150本。完売(発売時の税別価格316万8000円)。
2021年3月17日掲載記事
タンクが生まれたのは1917年のこと。この頃は第1次世界大戦から世の中が抜け出す時期であった。
その7年後の1924年、時代に革命を引き起こしたタンクの最初の本格的な進化版が発表された。それが、タンクを引き伸ばしたようなフォルムと、手首の形状にしっくりとなじむ湾曲したケースを持つ「タンク サントレ」だ。なお、サントレ(Cintrée)とはフランス語で「湾曲」を意味する言葉である。
当時、このモデルにはブレゲ巻き上げヒゲゼンマイを備えたルクルト製の手巻きキャリバー123が搭載されていた。文字盤ではリンゴ型の2本のブレゲ針が時間を示し、カルティエの伝統であるローマンインデックスが配されている。レイルウェイミニッツトラックの12時と6時側の2辺は、ケースのカーブを思わせるように丸みを帯びている。
かつてフレッド・アステアが所有し、あるいは映画「華麗なる賭け」でスティーブ・マックイーンの手首を飾ったこともあるタンク サントレ。2021年には誕生100周年を祝い、100年前のタイムピースにオマージュを捧げたモデルが発表された。なおタンク サントレの系譜は、2004年に再解釈版が発表されて以降、今日まで続いている。
このたびの記念限定モデルは、シリアルナンバー入りの世界限定150本のイエローゴールドモデル、Ref.WGTA0057として発表された。そしてなんと、発売前に全て売り切れてしまったのだ。これは近年の通常モデルには見られなかった伝統的な意匠と、湾曲した形状を持つ個性の組み合わせが成功であったことを意味する。
縦46.3x横23mm、厚さ6.4mmのケースサイズのこのタンク サントレは、以下のようなかつての特徴的な要素を踏襲している。2辺の湾曲したレイルウェイミニッツトラック、ローマンインデックス、青焼きのブレゲ針、パール状の粒が配されたサファイアカボションのリュウズ(オリジナルのものとはわずかに異なる)、そして尾錠が付属したブラウンのカーフストラップなどである。
ムーブメントはオリジナルのルクルト製キャリバーから変更され、現在ではジャガー・ルクルトの丸型キャリバー849をベースに採用した、手巻きキャリバー9780 MCを搭載し、約36時間のパワーリザーブを備えている。
https://www.webchronos.net/features/37028/
https://www.webchronos.net/2020-new-watches/44638/
https://www.webchronos.net/features/42263/