2020年に誕生した「ロンジン スピリット」と、今や定番と言えるダイバーズウォッチの「ハイドロコンクエスト」。ロンジンが誇るふたつのスポーツウォッチは、あらゆるシーンで使用可能なマルチパーパスウォッチとしての顔も持つ。今、急速に広まりつつあるこのジャンルの時計が持つ魅力とは?
細田雄人(本誌):取材・文 Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
クロノス日本版 2021年5月号 掲載記事
サンティミエの名門が世に問うマルチパーパスウォッチの雄
スイス・サンティミエの名門、ロンジン。1832年にオーギュスト・アガシによって興された同社は、その後200年近くにわたって、時計専業メーカーの最前線を走り続けてきた。20世紀前半から半ばにはキャリバー13ZNや30CHといった、手巻きクロノグラフムーブメントの傑作を数多く手掛けながら、1970年代以降はクォーツ時計の開発に注力するなど、方針を転換。84年に年差±10秒の高精度クォーツ時計「276VPH」を発表した。このように、その時代に何が求められているかを理解し、取り入れていく柔軟性が同社の強みである。
そんなロンジンが現在得意としているジャンルこそ、近年、需要が高まりつつあるマルチパーパスウォッチだ。これはスポーツウォッチのような万能な性能と、使用するシーンに左右されないベーシックなデザインを持つ時計を指す。
2020年に発表された新コレクション「ロンジン スピリット」は、まさにマルチパーパスウォッチと呼ぶに相応しい存在だ。その要素のひとつ、万能な性能に関しては、文句なし。搭載される自動巻きキャリバーL888.4はC.O.S.C.の認定を得た高精度機であり、シリコン製ヒゲゼンマイを採用しているため、耐磁性能にも期待できる。使い勝手の面でいえば、蓄光塗料をしっかり塗布したインデックスと、目盛りまで届いた長い秒・分針によって高い視認性を獲得し、リュウズもパイロットが手袋をした状態で操作していた時代の名残である大ぶりの玉ねぎ型リュウズのおかげで扱いやすい。
サンレイ仕上げのブルーダイアルが爽やかな印象を与える。掲載モデルのほか、梨地仕上げのシルバーダイアルモデルと、ラッカー仕上げのブラックダイアルモデルがラインナップされる。自動巻き(Cal.L888.4)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS(直径40mm、厚さ12.20mm)。10気圧防水。27万2800円。
デザインは一見、サテン仕上げを多用したクラシカルなパイロットウォッチのように思えるが、ケースとラグのエッジ面を取るようにポリッシュが施されているため、よく見れば驚くほどにモダンだ。結果、汎用性の高いスタイルに仕上がり、着用シーンを選ばずに使用可能な意匠を得ることに成功している。
ロンジンでマルチパーパスに対応したモデルといえば、「ハイドロコンクエスト」も見逃せない。同作は300mの防水性能を持つ本格的なダイバーズウォッチであるが、ケース径は41mm、厚さも11.90mmと、このジャンルの時計としては小ぶりだ。ダイバーズウォッチならではの堅牢なケースと使い勝手に優れたサイズ、そして派手すぎないデザインはマルチパーパスウォッチと言って差し支えない。
本格的ダイバーズウォッチながら、コンパクトなケースとモノトーンの配色が、シーンを選ばずに使用できる汎用性を与える1本。なお、こちらのCal.L888のヒゲゼンマイにはシリコン製ではなく、従来のニヴァロックス製が用いられる。自動巻き(Cal.L888)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS(直径41mm、厚さ11.90mm)。30気圧防水。20万9000円。
どんなシーンでも着用できる時計は意外に少ない。多くのコレクションを持つ時計愛好家であっても、使い勝手に優れるこれらのモデルを買い足すという選択肢はあって然るべきだろう。もちろん時節柄、初めての機械式時計の購入を検討しているという新規ユーザーにとっても、最良の1本であることは間違いない。
ロンジン スプリングキャンペーン
ロンジンでは就職、昇進、転職などで、新天地での挑戦が始まる春の新生活を応援すべく、4月20日(火)までの期間、全国のロンジン取り扱いショップにて「ロンジン スプリングキャンペーン」を開催中だ。期間中にロンジン スピリットをはじめとするキャンペーン対象商品を購入した方には、ロンジンのオリジナルグッズがプレゼントされる。
●期間:4月20日(火)まで
●店舗:全国のロンジン取り扱いショップ
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