昔の時計に見られる「σSWISSσ」って表記とは?/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

2021.04.04

Q:昔の時計に見られる「σSWISSσ」って表記はなんですか?

広田雅将

2021年4月4日掲載記事


A:インデックスがゴールド製のモデルを指すマークです

1970年代から80年代の高級時計を見ると、しばしば文字盤の下に「σSWISSσ」という表記を見かけます。これは、「シグママーク」と呼ばれるもの。一部のスイス製時計が1971〜95年まで採用したものです。スイス製の文字盤で、しかもインデックスが金製である場合にのみ、このマークが用いられました。

しかし、この条件を満たしたすべての時計がシグママークを表記していた訳ではありません。このマークを採用できたのは、スイスのサプライヤーたちが設立したAPRIOR(Association Pour la Promotion Industrielle de l’Or)に所属するパテック フィリップ、ロレックス、ヴァシュロン・コンスタンタン、IWC、オメガの5社のみです。

カラトラバ,3796

ダイアル6時位置に記載された「σSWISSσ」が、インデックスがゴールド製であることを示すマークだ。写真は1982年に登場したパテック フィリップ「カラトラバ」のRef.3796。
Photograph by Masanori Yoshie


文字盤がゴールド製である必要はない

しばしば誤解されますが、このマークは文字盤自体が金製でなくても、インデックスが金製であれば使うことができました。

仮にお持ちの時計にシグママークが見られたならば、それはインデックスに金を使った高級品と考えていいでしょう。なお、シグママークの採用は95年には取りやめとなり、2007年にはAPRIOR自体も解散となりました。