スイス時計界を代表する名門オメガは、スピードマスターやシーマスターなど、数々の人気コレクションで知られる高級時計ブランドである。オメガの歴史や特徴、定番シリーズや人気モデルの魅力を知り、時計選びに役立てよう。
輝かしいオメガの歴史
オメガの偉大さを物語る歴史を見ていこう。オリンピックと人気映画で使われていることが、これまでの輝かしい歴史を象徴している。
オメガの誕生と名前の由来
時計師ルイ・ブランにより1848年に開設された小さな工房が、オメガの前身である。スイスのラ・ショー・ド・フォンにその工房は開かれた。
77年には、ルイ・ブランの息子であるルイ・ポールとセザールが会社経営に加わった。会社名は「ルイ・ブラン&フィルズ」に変更されている。
94年に開発したムーブメントが、高い精度とメンテナンス性で世界的な評価を得ることに成功する。このムーブメントは「究極」を意味する「オメガ」と名付けられた。
1904年には会社名にもオメガが採用され「ルイ・ブラン&フレール-オメガウォッチ」となり、オメガブランドが誕生する。
オリンピックの公式時計に採用
1932年のロサンゼルスオリンピックで、オメガは初めて公式時計として採用された。以来、計30回のオリンピックで、オフィシャルタイムキーバーを務めている。
48年の冬季サンモリッツ大会とロンドン大会では、初めて光電子写真装置を使用した。テレビ画面にタイムを重ねる「オメガスコープ」は、64年の冬季インスブルック大会で使用され、世界に衝撃を与えている。
その後も、水泳選手が計時装置を手で止めるタッチパネルや、タイムを約1/1000秒の単位でデジタル計測する機器を登場させるなど、スリリングな瞬間と正確な結果を捉え続けている。
名作映画主人公の相棒として
オメガの時計は、大人気映画「007」シリーズで使用されていることでも知られている。1995年公開の「007 ゴールデンアイ」以降、全ての作品で主人公のジェームズ・ボンドが着用している。
初めてジェームズ・ボンドの相棒となった時計は「シーマスター プロフェッショナル ダイバー300M クォーツ」だ。以来、全作中でシーマスターコレクションを着用し続けている。
映画の公開に合わせて、これまでにいくつかの記念モデルも発表されている。劇中で使われた時計が、そのままの形やデザインで市販化されたこともある。
オメガが選ばれる理由
「ステータス」「コストパフォーマンス」「コーアクシャル機構」の3つが、オメガの魅力を高めている主なポイントである。それぞれについて詳しく解説する。
ステータス性が高い
オメガは世界的に知名度が高い高級時計ブランドである。多くの国や地域において、人気ランキングの上位に顔を出している人気ブランドだ。
日本においても、高級時計ブランドの認知度は、オメガとロレックスが2強という調査結果も出ている。
オメガが支持を集めている理由のひとつに、世代を問わず愛されていることも挙げられる。若い層からは憧れとして、ミドル層からはスーツに似合うステータスシンボルとして認知されているのだ。
高級時計初心者だけでなく、時計愛好家からも好かれているオメガは、何年、何十年経っても価値が下がらないブランドと言えよう。
コストパフォーマンスに優れる
トータルバランスに優れていることも、オメガが選ばれる理由のひとつである。他の高級時計ブランドに引けを取らない、性能・耐久力・ステータス性の高さに加え、コスト面も優れているのだ。
高級時計王国スイスを代表するブランドでありながら、オメガは富裕層だけをターゲットにしていない。一般の人にも手が届く存在であり続けているのだ。
他のブランドと一線を画しているコストパフォーマンスの高さは、高級時計を初めて購入する人にとっても大きなポイントである。
コーアクシャル機構を持つ
オメガのムーブメントのほとんどには、コーアクシャル機構が搭載されている。オメガが独自に開発し、オメガのみにしか搭載されていないムーブメント機構である。
コーアクシャルは、時計の心臓部である脱進機を指す。パーツの摩擦が少ないため、通常3~5年周期で行うオーバーホールを、5~8年周期まで延ばせることが特徴である。
一般的なスイスレバー脱進機はアンクルの爪がふたつだが、コーアクシャル脱進機には3つある。ガンギ車も風車状になっているため、摩擦を抑え、安定した脱進が可能となっている。
2014年に登場したシーマスターには、さらに耐磁性能を高めた「マスター コーアクシャル」が搭載された。1万5000ガウスもの耐磁性を誇り、日常では磁気帯びの可能性がほとんどなくなった。