オーヴァーシーズ・エベレスト
自動巻き(Cal.5110 DT/2)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Ti+SS(直径41mm、厚さ12.8mm)。15気圧防水。世界限定150本(ヴァシュロン・コンスタンタン ブティック限定販売)。371万8000円(税込み)。
最もスポーティーなコレクション、オーヴァーシーズコレクションに「エベレスト」の名を冠したクロノグラフモデルとデュアルタイムモデルの2種が追加された。共に150本の限定生産である。
本作は、アメリカの写真家兼探検家のコーリー・リチャーズが2019年にエベレスト登山で着用したプロトタイプをもとに製作されたものだ。オーヴァーシーズは、世界へと目を向けて発見する精神の象徴と位置付けられており、コーリー・リチャーズが最も困難で危険なルートとされる北東稜からエベレストに挑み、3度目の登頂に成功した偉業を称えるものとして相応しいコレクションである。
本作の外装は、仕上げの異なるチタンとステンレススティールが組み合わされている。ケースにはサテンブラッシュ、プッシャーにはポリッシュ、ベゼルやリュウズおよびプッシャーのガードにはビーズブラスト仕上げが施されたチタンが用いられる。チタンのアンスラサイトグレーのトーンとコントラストを成すのが、ポリッシュ仕上げが施されたステンレススティールのベゼルリングだ。
ストラップには、ヌバックカーフスキンの裏地が付いたコーデュラストラップに加え、ラバーストラップが付属する。従来モデルと同様、インターチェンジャブルとなっており簡単に付け替えが可能である。
自動巻き(Cal.5200/2)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約52時間。Ti+SS(直径42.5mm、厚さ13.7mm)。15気圧防水。世界限定150本(ヴァシュロン・コンスタンタン ブティック限定販売)。437万8000円(税込み)。
「オーヴァーシーズ・クロノグラフ・エベレスト」に搭載されるのは、コラムホイールと垂直クラッチを備える自動巻きCal.5200/2である。22KPGの自動巻きローターには、コーリー・リチャーズが撮影した写真をもとにしたエベレストのモチーフが彫り込まれている。クロノグラフに関連する3本の針には、彩度を落としたオレンジが用いられており、NAC処理が施されたダイアルとコントラストを成し、視認性を高めたものとなっている。
「オーヴァーシーズ・デュアルタイム・エベレスト」は、ふたつのタイムゾーンを表示する自動巻きCal.5110 DT/2を搭載する。センター針のローカルタイム表示に加え、先端に三角の矢をあしらい、彩度を落としたオレンジとした4番目の針がホームタイムを示している。これと連動するデイ/ナイト表示にも同じくオレンジが用いられる。また、クロノグラフモデルと同様に、自動巻きローターにはエベレストが彫り込まれている。
アメリカン 1921 ユニークピース
手巻き(Cal.1921)。16石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約30時間。18KYG(直径31mm、厚さ8.75mm)。非防水。非売品。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、「アメリカン 1921」の100周年を記念して、オリジナルモデルを忠実に復刻した「アメリカン 1921 ユニークピース」を発表した。1921年に製造されたオリジナルモデルはわずか24本であり、同社のプライベートコレクションに収められた1点を元に製作された本作は、メゾンのレストレーション(修復)工房とヘリテージ(歴史遺産)部門の専門知識を結集することで誕生した。
同社のヘリテージ部門は、マニュファクチュールの中で独自の位置を占めている。800点の工作機器、ワークベンチ、工具、重要な文書や図像の資料の他、サプライヤーや顧客との連絡の記録を含む製造台帳や会計台帳を保管している。この膨大な情報は新しいコレクションの創作にインスピレーションを与える源泉であるのと同時に、これまで製造してきた時計をすべて修復可能なレストレーション工房の基盤として重要な働きをしてきた。
豊富な情報と設備によって、どのような時計であっても本来の姿を変えずに維持する術に長けたレストレーション工房であっても、アンティークウォッチをまるごと復刻することは初めての試みであった。この過程において、細部まで原型に忠実で正確な再構成が行われたのが、本作の大きな特徴である。ヘリテージ部門によりひもとかれた「アメリカン 1921」の歴史と製造手法は、レストレーション工房が過去のノウハウと現代のテクニックを融合することにより、ユニークピースとして具現化された。具体的には、ケースの忠実な再現のためにヘリテージ部門が保有する19世紀末期の正面フライス盤が用いられたほか、ムーブメントの地板の穴あけには18世紀のドリルを据えた縦型機械を、また軸石のセットには20世紀初頭の打ち込み機を使用するなど徹底したものとなっている。
このような取り組みにより完成したアメリカン 1921 ユニークピースは、2021年を通じ、世界のヴァシュロン・コンスタンタン・ブティックを巡回して展示される。
トラディショナル・コンプリートカレンダー
自動巻き(Cal.2460 QCL/1)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KWG(直径41mm、厚さ10.7mm)。3気圧防水。488万4000円(税込み)。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、「トラディショナル・コンプリートカレンダー」に、18Kホワイトゴールド製ケースにベルベット仕上げのスレートグレーダイアルを採用した新作を追加した。
ヴァシュロン・コンスタンタンのトラディショナルコレクションは時計製造の伝統を現代的に表現することを目指しており、啓蒙主義時代に時計づくりに励んだジュネーブの“キャビノティエ”と呼ばれる時計職人たちが製作した時計を思い起こさせるモデルをラインナップする。段差を付けたラウンド型ケースとラグ、コインエッジ模様を刻んだケースバック、レイルウェイのミニッツトラック、ドーフィン型の時分針が、その特徴を色濃く表している。
そのデザインコードを踏襲しつつ、ポインターデイト、3時位置に月表示、9時位置にムーンフェイズ、9時位置に曜日表示を備える。日付表示をミニッツトラック外周に配置して三日月形のモチーフを配した針で示し、月と曜日を一般的なトリプルカレンダーよりも外周部に左右離れて配置することで、高精度なムーンフェイズ表示をダイアル下部に十分なスペースを持ってレイアウトしている。
今作は、既存の18Kピンクゴールド製レギュラーモデルに続くもので、41mmケースを18Kホワイトゴールド製とし、ベルベット仕上げのスレートグレーダイアルを採用する。この新しい色調が、ダイアルの表示スタイルを引き立て、時計に現代的な印象をもたらしている。
ムーブメントはCal.2460 QCL/1を搭載する。これは、VCVJ初の設計開発による自動巻きムーブメントであるCal.2450を発展させたものだ。Cal.2450の厚さは3.60mmに抑えられているため、コンプリートカレンダーを追加したキャリバー2460 QCL/1の厚さも5.4mmに収まっている。時計の仕上がり厚さも10.7mmに抑えられており、今作に相応しいエレガントなプロポーションを保っている。
トラディショナル・トゥールビヨン 日本限定モデル
自動巻き(Cal.2160/1)。30石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約80時間。Pt(直径41mm、厚さ10.4mm)。3気圧防水。アワーグラス銀座店にて2種、各6本限定販売。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、今年25周年を迎えたアワーグラス銀座店のために特別に製作されたギヨシェ彫りがあしらわれたダイアルを備える「トラディショナル・トゥールビヨン 日本限定モデル」を発表した。本作は、時計製造の伝統を現代的に表現するトラディショナルコレクションの特徴である、段差を付けたラウンド型ケースとラグ、コインエッジ模様を刻んだケースバック、レイルウェイのミニッツトラック、ドーフィン型の時分針に加え、6時位置に時計技術の伝統に敬意を表したトゥールビヨンを備える。
ムーブメントは自動巻きのCal.2160/1を搭載する。その特徴は、トゥールビヨンにマルタ十字を思わせるオープンワークが施される点と、ムーブメント厚さが5.65mmと薄型であることだ。これにより、ケース厚は10.4mmに抑えられている。さらに、自動巻き機構にペリフェラルローターが用いられており、ローターがムーブメント外周部に置かれたことでトゥールビヨンの裏側やムーブメントの仕上げを覆い隠さない点が特徴である。
本作のために特別に製作された2種類のダイアルは、共に手作業によるギヨシェ彫りが施されている。一方は、3時側はトゥールビヨンのキャリッジから放射状に広がり、9時側は波紋のように広がる模様が施され、左右で異なる表情を見せる珍しいものだ。もう一方は、波模様とダイヤ型の幾何学模様が組み合わされたもので、立方体が積み重なったようにも見える立体感を持つものに仕上げられている。
共に、アワーグラス銀座店にて各6本、限定販売される。
自動巻き(Cal.2160/1)。30石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約80時間。Pt(直径41mm、厚さ10.4mm)。3気圧防水。