ウォッチジャーナリスト渋谷ヤスヒトの役に立つ!? 時計業界雑談通信
2021年もオンラインによって4月7日(水)~13日(火)まで開催された第2回「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2021」。その1週間を振り返ってみたい。
(2021年4月18日掲載記事)
やはりトラブルゼロは無理だった
現在、時刻は日本時間4月13日24時45分。オンラインだが世界最大の時計フェアになった「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(WWG)2021」の全プログラムが終了した。
オンライン開催は2回目で、参加ブランドが倍増したこともあり、事務局はかなり準備をしたはず。だが、残念ながらトラブルがいくつか起きてしまった。
筆者がまず遭遇したトラブルは、事務局からのたくさんのメール。アカウントを登録してセッションの予約もしたのに、なぜか何度もアカウント登録を促すものが届いた。
さらに初日のオープニングタイムには、おそらくアクセスの集中が原因で、サイトが一時ログインできない状態に。ログインできてもブランドのプログラムの視聴予約が消えていたり、セッションの時間がジュネーブ時間の表示になってしまっていたり、始まったセッションが途中で止まったり、新作画像のダウンロードサイトもアクセス集中でダウンロードができなかったり……。
オンラインでベストを追求
こうしたトラブルのため、今回のフェアについて「やっぱりデジタルはダメ」と厳しい評価を下す人もいる。
しかし、それは厳しすぎるのではないだろうか。粗探しをしたらきりがない。そもそもデジタルでできることには絶対的な限界がある。
この1年あまり、筆者のメディアライフは大きく変わった。
テレビよりYouTubeなどのネットコンテンツを視聴し、Zoomでのウェブセミナーなど双方向のオンライン取材やセミナーの受講、時に主催したり、ビデオコンテンツも編集したりするようになった。そんな筆者から見て、今回のWWGのコンテンツはかなりレベルが高いと評価できる。
多くの時計ブランドが、本社内にネット配信用の専用スタジオを設けてそこから配信していたし、そこから配信される映像も音声も非常にクォリティが高かった。かなりレベルの高い機材やマイクを使用していたはずだ。
配信されたオンラインプレスセッションや解説用に作られた動画もレベルが高い。プロの手で最高品質を追求したブランド、手作り的なブランド、それぞれに良かったが、各社がデジタルでの情報発信を重視していることがよく分かって感心した。新作のプロモーションビデオも、各社のブランドポジションが見事に反映されたものが多かった。中でも魅力的だったのが、クセのある魅力的なイラストをお洒落に使ったヴァシュロン・コンスタンタンと、音楽とDJ風のナレーションがテンポ良く見事にシンクロしたチューダーだ。