年次(アニュアル)カレンダーとは/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

2021.04.25

Q:年次(アニュアル)カレンダーって何なの?

最近さまざまなメーカーが取り組むコンプリケーションのひとつに、年次カレンダー(アニュアルカレンダー)があります。そのメリットは普通のカレンダーよりも使い勝手が良く、永久カレンダーほど複雑でないこと。

広田雅将

2021年4月25日掲載記事


A:2月末を除き、小の月の日送りを自動で行うカレンダーのこと

具体的には2月末のカレンダー調整を3月1日に手動で行えば、他の月は自動的に月末の日送りを送ってくれるというものです。初めてこの年次カレンダーを完成させたのはパテック フィリップ。後に多くのメーカーが追随し、今ではオメガやロレックスなども採用しています。

もっとも、パテック フィリップを除く初期の年次カレンダーの多くは永久カレンダーの機構をシンプルにしたものでした。そのため、どうしても割高になってしまいました。

しかし、ルードヴィヒ・エクスリン博士は歯車だけで構成される、シンプルな年次カレンダーを完成させました。これはETA7750に数点の部品を加えるだけで年次カレンダーになるというものでした。以降ゼニスなどが、エクスリン流のシンプルな年次カレンダーメカニズムを採用しました。

MIH 年次カレンダー

ルードヴィヒ・エクスリン博士が設計した、年次カレンダーウォッチの傑作がMIH「年次カレンダー」だ。ETA7750をベースに、わずか9個のパーツで構成される年次カレンダーモジュールを加えることで年次カレンダーを実現。独立時計師のポール・ゲルバーらが共同製作に名を連ねる。


4年に1度だけ、手動調整が必要なセミパーペチュアルも

なお、年次カレンダーに似たものとしてセミパーペチュアルカレンダーがあります。これは閏年の2月末日だけを手動で調整するもの。毎年2月末の日付を調整する必要がある年次カレンダーに比べて、4年に1度の調整で済むものの、機構的にはパーペチュアルとほとんど変わりません。そのため現在セミパーペチュアルを採用するメーカーはブライトリングを除いて、ほとんどありません。


年次カレンダー概論。歯車型とレバー型を徹底比較

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