Q:スイスメイドに基準ってあるんですか?
現在、一定の基準を満たしたスイス製時計には「スイスメイド(SWISS MADE)」という文字が刻まれています。とはいえ、かつてスイス製の時計に明確なスイスメイドの基準は存在していませんでした。
A:「ムーブメントと外装の60%がスイス製」など、いくつかあります
しかし、賃金の高騰により多くの部品メーカーがスイス国外に工場を移転するようになった結果、スイスの時計業界はスイスメイドの明確な基準を打ち立てる必要に迫られました。そこで出来上がったのが1971年のスイスメイド法です。
これは
・本社がスイスにあること
・ムーブメントにかかるコストの約50%がスイス国内で発生していること
・ケーシングをスイスで行うこと
・最終検査をスイスで行うこと
というものでした。つまり基準に外装は含まれていなかったのです。
この基準が改正されたのは2017年のこと。今までの基準に加えて、ムーブメントと外装の60%がスイス製である(コスト換算)ことが求められるようになりました。これが現在のスイスメイド法です。いくつかのメーカーは内外装ともに、コストの80%を基準とするよう求めましたが、時計業界の反対が大きかったため、60%に収まったという経緯があります。
結果として多くの時計メーカーはスイスのサプライヤーに部品を注文するようになり、時計の価格は上昇しましたが、スイスメイドの価値は高まりました。現在これほど明確な基準を持っているのはスイスメイド法以外にありません。日本もドイツも、残念ながらスイスほど明確な製造基準を設けていないのです。
スイスメイドを記載していなくても良質なスイス時計もある
しかしながら、スイスメイドをうたっていなくても良質な「スイス製」の時計は多くあります。またH.モーザーのように100%スイス製でありながら、あえてスイスメイドを記していないメーカーもあります。なお、新しいスイスメイド法が定める外装の基準は、文字盤と針、そしてケースに限られています。つまりブレスレットやストラップは含まれていません。
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