ゼニスは、1/100秒計測の高振動のクロノグラフウォッチ「デファイ エル・プリメロ 21」からこれまでに大胆な色彩を採用した特別モデルの数々を発表してきた。今回は、アルゼンチンとスペインにルーツを持つ現代アーティスト、フェリペ・パントンとのコラボレーションにより「身に着けられるキネティック・アート」と呼ぶにふさわしい「デファイ21 フェリペ・パントン」を実現した。
Text by Mark Bernardo
2021年5月19日掲載記事
光と色を通して高振動のクロノメトリーを表現
ゼニスがフェリペ・パントンとコラボレーションを始めたのは2020年、スイスのル・ロックルにある社屋のファサードを、彼の作品を表現するキャンバスとして提供した時であった。パントンの作品は「可視スペクトル コンセプト」と呼ばれるものに基づいた、可視光線の波長と屈折した色を利用して虹のようなグラデーションを描き出すことが特長だ。この表現の舞台として、超高振動な「デファイ エル・プリメロ 21」は非常に相応しい。
パントンの名前とスタイルを冠した「デファイ21」のビジョンを実現するために、ゼニスはこれまで時計製造に用いられたことのない新しい技術の開発に挑んだ。例えば、ムーブメントのブリッジに「干渉色」の原理を用いたことで施されたマルチカラーだ。このレインボー効果を生み出すための方法を見付けるには、専門家による何カ月もの試行錯誤が必要とされた。その結果、表面をシリコン粒子で処理した革新的な3次元PVDコーティングが開発され、完璧に移り変わる色のスペクトルを作り出すことができた。このプロセスは標準化されたが、それぞれの作品は微妙に異なる色に変化し、基本的に1点ものの仕上げとなっている。
歪んだ稲妻を思わせる時分針もフェリペ・パントンの作品に由来しており、レインボーグラデーションのPVDコーティングが施されている。珍しい形状の針と、完璧に変化するカラーPVDコーティングの両方を成功させることは、この時計を製作する上で最も困難な課題のひとつでもある。もうひとつの注目すべき要素は、ブリッジと文字盤の一部に採用された黒と白の帯を交互に配した、フェリペ・パントンの絵画と彫刻において頻出するテーマでもあるモアレの視覚効果だ。ゼニスはこのモチーフを、PVDと正確なレーザー刻印技術を用いて、ストライプのコントラストの中に流動的な動きがあるように用いている。オープンワークが施された文字盤において、丹念に作られた針とともに、アワーマーカーとカウンターにもグラデーションとブラックカラーが混在している。
セラミックスケースの四隅に刻印された「FP#1」は、フェリペ・パントン(Felipe Pantone)との初のコラボレーションを意味する。搭載されるムーブメントは、3万6000振動/時と、36万振動/時の、ふたつの脱進機を備えたクロノグラフ・ムーブメントのキャリバー9004であり、100分の1秒の計測を実現している。
デファイ21 フェリペ・パントンは、その芸術性の高さにふさわしく、ハードカバーの本を模した化粧箱に入っており、表紙にはフェリペ パントンが特別に制作した細密画が描かれ、署名入りの証明書が添えられている。世界で100本のみが限定販売された。
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