Q:ロレックスのオイスターケースは何が凄いんですか?
オイスター(牡蠣)の名が付けられたロレックスの防水ケース。一体何が優れているのか? それはねじ込み式のリュウズとケースを1920年代に導入した先見性とそれを可能にした高い技術力は、ロレックスというブランドの凄みを伝える。
2021年5月30日掲載記事
A:高い防水性能を得るため、ねじ込み式の裏蓋とリュウズを採用したパイオニア
ロレックスの大きな特徴が、防水性能の高いオイスターケースです。オイスター、つまり牡蠣という名前をつけられたこのケースは、ねじ込み式の裏蓋とねじ込み式のリュウズによって、高い性能を持っていました。もちろん今ではこういった防水ケースは当たり前になりました。しかし、1920年代においてこのケースを使用できるのはロレックスしかありませんでした。他のメーカーが防水性の高いケースを作れるようになったのは、ケースに使う防水パッキンが進化した60年代以降の話です。
1926年に発表された防水時計「オイスター」。この二枚貝に由来するケースに防水性能を与えたねじ込み式リュウズはスイスで同年の10月18日に、またイギリスでは同10月30日に特許申請が受理されている。なお、ねじ込み式ケース自体は、当時すでに特許保護の対象となっていた。
現在はモノブロックミドルケース化でより高性能に
現在のオイスターケースはさらに大きな進化を遂げています。以前との大きな違いはムーブメントを固定するインナーケースが省かれたこと。これがロレックスの言う「モノブロックミドルケース」です。つまり現在のオイスターケース採用モデルは基本的にムーブメントを直接ケースに固定しているのです。
モノブロックミドルケースによって、直接ムーブメントが固定されていることがよく分かる写真。高い精度でのケース加工が求められるこの方式を用いて、年産何十万本単位で量産できることから、ロレックスというメーカーの特異さがうかがえる。
その結果ケースはより丈夫になり、理論上の防水性も高まりました。ですがケースをムーブメント直付けすると言う事は、ケースをきちんとした精度で加工する必要があります。今の工作機械を使えば高い精度で加工することは可能です。しかし60年代にこれができたメーカーも、やはりロレックスのみだったし、現在も数十万個単位で量産できるメーカーはロレックスしかありません。
ロレックスの歴史を年表形式で解説
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