IWC 150周年記念モデルの特徴は青。歴史と魅力を掘り下げる

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2022.10.25

IWCは、豊かな歴史を持つ高級時計の名門ブランドである。2018年には、ブルーを特徴とした150周年記念モデルが数多く発売されて話題となったたが、改めて、このアニバーサリーモデルの魅力を振り返るとともに、IWCの歴史や特徴、注目すべき最新モデルについても紹介する。


1868年創業のIWC

IWCとはどのようなブランドなのか、まずは歴史をおさらいしておこう。多くの時計愛好家から支持を集める理由も解説する。

150年を超える歴史を誇る

フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ

フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ(1841-1916)は、マサチューセッツ州ボストンの出身の時計技師で、南北戦争終戦後にアメリカの時計製造会社E.ハワード&カンパニーに入社。1867年に渡欧し、翌1868年にスイス人のヨハン・ハインリッヒ・モーザーと協力し、インターナショナル・ウォッチ・カンパニーの前身となるF・A・ジョーンズ&カンパニーを設立する。

IWCは、アメリカ生まれの時計職人フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが、1868年にスイスのシャフハウゼンで設立した時計メーカーだ。150年超の歴史を誇る高級老舗ブランドである。

設立当初から高い技術力で評価を集め、1885年にはデジタル表示式のポケットウォッチを世界で初めて誕生させている。1936年発表の耐磁仕様時計は、後にイギリス軍のオフィシャルウォッチとして採用された。

その後も、多くの複雑機構を搭載した「ダ・ヴィンチ」を世に放つなど卓越した技術力を発揮し続け、質実剛健な時計づくりの伝統を守りながら現在に至っている。

IWCが時計愛好家に支持される理由

IWCの時計が持つ大きな魅力のひとつに、無駄のない洗練されたデザインが挙げられる。第一に実用性を重視し、他のスイス老舗ブランドのような華美な装飾は一切見当たらない。

独自の自社規格を設けている点も特徴的だ。スイス公認の「クロノメーター規格」にはあえて参加せず、厳格な自社規格をクリアした時計のみをユーザーへ提供している。

IWCは、創業以来開発した全ての時計に、永久修理を保証している。現在は存在しないパーツも再製造する徹底ぶりだ。スイスの名だたる高級ブランドの中でも、自社商品に永久修理を保証しているメーカーはごくわずかである。


IWCの代表的なモデル

IWCは、ビジネスユースからスポーツラインまで、多彩なシリーズ展開を行っているメーカーだ。現在のブランドを代表するコレクションと最新のモデルをチェックしておこう。

洗練されたデザインが魅力 ポルトギーゼ

ポルトギーゼ・クロノグラフ

2020年にリニューアルを果たした「ポルトギーゼ」コレクションの最新作が、「ポルトギーゼ・クロノグラフ(Ref.IW371620)」。ホワイトの文字盤にブルーのインダイアルを組み合わせた軽快感あふれるデザインで、柔軟性と耐久性を併せ持つブルーのラバーストラップにより、装着感にも優れる。自動巻き(Cal.69355)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SS(直径41mm)。3気圧防水。101万7500(税込み)。

ポルトガル商人から依頼されて1939年に開発した「ポルトギーゼ」は、IWCのフラッグシップモデルである。航海中でも高い精度を保てる大型ムーブメントを搭載するため、大型の外装に設計されている。

その魅力は洗練された上品なデザイン。ケースや裏蓋には、厚みを感じさせない工夫が随所に施されている。

1998年に発表された「ポルトギーゼ・クロノグラフ」は、誕生当時から不動の人気を誇り、今なお愛され続けているモデルである。2010年にはスポーティーなデザインのモデルも発表。そして2020年にはコレクションをリニューアルし、全モデルに自社開発・製造のムーブメントが搭載された。

クラシカルな意匠が美しい ポートフィノ

ポートフィノ・クロノグラフ 39 “ローレウス・スポーツ・フォー・グッド”
ポートフィノ・クロノグラフ 39 “ローレウス・スポーツ・フォー・グッド”
「ポートフィノ」の2022年新作としてアナウンスされたのは、IWCとローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団とのコラボレートによるスペシャルモデル「ポートフィノ・クロノグラフ 39 “ローレウス・スポーツ・フォー・グッド”(Ref.IW391408)」。ケースバックにはIWCが開催している絵画コンテストの最優秀作品をエングレーヴィング。今作では15歳のジャティン・マハルン氏の作品が描かれている。自動巻き(Cal.79350)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約44時間。SS(直径39mm)。3気圧防水。世界限定1000本。82万5000円(税込み)。

1984年に誕生した「ポートフィノ」は、クラシカルかつ優雅な意匠により、IWCの中でも安定した人気を誇るモデルである。極めてシンプルなデザインが特徴だ。

1990年代にはサイズダウンを図って装着感を高め、さらに2011年以降は6時位置と12時位置にローマンインデックスを採用するなど、文字盤の上品さを際立たせている。

他の雲上ブランドに見られるような、無駄をそぎ落とした上品さは、多くの時計ファンを魅了し続けている。玄人好みの時計としても知られているモデルである。

軍用時計がルーツ パイロット・ウォッチ

パイロット・ウォッチ・マークXX

2022年に発表された最新モデル「パイロット・ウォッチ・マークXX(Ref.IW328204)」。自国の読み取りやすさを重視した基本的なデザインは踏襲しつつ、新たに自社製キャリバー32111を搭載。120時間のロングパワーリザーブを実現していることに加え、ステンレススティール製のブレスレットにはEasX-CHANGEシステムを採用しているため、ストラップの交換も容易になっている。自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SS(直径40mm)。10気圧防水。81万9500円(税込み)。

ポルトギーゼと並びIWCを代表するコレクションが「パイロット・ウォッチ」である。中でも高い人気を博しているのがマークシリーズだ。

1936年に軍用時計として開発され、その後は1948年に発表された「マーク11」から、2022年に発表されたばかりの「パイロット・ウォッチ・マークXX」へと進化を続けている、ブランドの基幹コレクションである。

視認性・耐磁性能・堅牢性といった、パイロットウォッチに求められる性能を備えるのみならず、ギア感があふれるデザインも魅力的だ。

2021年には、それまでのツールウォッチから、高品位な実用スポーツウォッチへとポジショニングを変え、新たな展開を見せ始めている。