カール F. ブヘラは、2008年に革新的なペリフェラル式巻き上げローターを搭載した初の自社製キャリバー「マネロ ペリフェラル」を発表して以来、独自の「ペリフェラル」テクノロジーを次々と発表してきた。2018年には、世界で初めてペリフェラル式のトゥールビヨンを発表。そして2021年にはこのコンセプトを、「マネロ ミニッツリピーター シンフォニー」として昇華させ、これまでにない最高の時計として完成させた。
自動巻き(Cal.CFB MR3000)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18Kローズゴールドケース(直径43.80mm、厚さ12.47mm)。10m防水。世界限定88本。5390万円(税込み)。
Text by Mark Bernardo
2021年6月16日掲載記事
ペリフェラルレギュレーターを備えるミニッツリピーター
「マネロ ミニッツリピーター シンフォニー」は、その名前が表すように、カール F. ブヘラが得意とするペリフェラル(環状)テクノロジーを備えるミニッツリピーターである。同社はペリフェラル自動巻きシステムやペリフェラルフローティングトゥールビヨンに加え、さらに時計製造技術の中で最も精巧な複雑機構である、ペリフェラルレギュレーターを備えるミニッツリピーターまでひとつの時計に搭載したのだ。キャリバーCFB MR3000には、3つのセラミックボールベアリングによって支えられる、リピーターの制御機構が取り付けられた。この特許取得のメカニズムは、文字盤の6時位置から見ることができる。さらに5時と7時の位置にある開口部からは、リピーターのハンマーが完全に見えるようになっている。
またリピーターには不用意な作動を防ぐ安全機構も組み込まれている。9時位置の小さな開口部には現在の時計のモードが表示され、巻き上げや設定のためにリュウズを引き出したときには青いドットが、チャイム機能が作動しているときには音符のマークが表示される。さらに、リピーター機能が作動しているときにはリュウズは引き出せず、一方リュウズが引き出されている間にはリピーター機構がロックされる。ストップセコンド機能については、リュウズを引き出すと、12時位置の大きな開口部にあるフローティングトゥールビヨンのキャリッジが停止され、正確な時刻合わせが可能となる。サファイアクリスタル製ケースバックから鑑賞が可能なムーブメントは精緻な仕上げが施されているだけでなく、約65時間のパワーリザーブとC.O.S.C.認定クロノメーターを取得している点も魅力である。
ケースは18Kローズゴールド製で、くり抜かれたラグにより、既存のマネロ・コレクションとは一線を画すデザインとなっている。これにより時計の重量を軽減し、チャイムの音色を増幅させている。文字盤も18Kゴールド製で、電気メッキによる繊細なグレイン仕上げが施されている。またマネロ・コレクションならではのエレガントなフォルムと繊細なエッジの効いたゴールドの針と、アプライドインデックスが採用されている。文字盤の6時位置にあるのは、シリアルナンバーのエングレービングだ。ハンドステッチが施されたブラウンのアリゲーターストラップにはゴールドのフォールディングクラスプが付属。マネロ ミニッツリピーター シンフォニーは、オーナーが時計の音色を部屋にいる友人たちと楽しめるようにレゾネーターが付属した豪華なボックスで納品される。レゾネーターは「トーンウッド」として知られるジュラ山脈産のトウヒで出来ている。この木材はギターやバイオリンなどの弦楽器を製作するのに使われるものだ。時計の打鐘音を約2倍に増幅するレゾネーターによって、調和の取れたゴングの音色を存分に堪能することができる。
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