ストリートに解き放たれるセラミックスのニューコード「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ」

2021.06.03

新作の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ」に初めて採用された、ブラックセラミックスのミドルケース。昨年のバイカラーゴールドに続き、バイカラーマテリアルまで表現の幅が拡がり、スポーティーな表情も漂わせるようになった。初めて出荷時の標準装備となったキャンバス調のラバーストラップは、オプションカラーも豊富に展開。既存モデルへの着せ替えも楽しめる。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
ミドルケースにブラックセラミックスを導入した新作クロノグラフ。スモークグレーのダイアルは、縦方向に走るヘアラインを強調した仕上がりに。自動巻き(Cal.4401)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。右/18KPG×セラミックス、左/18KWG×セラミックス(直径41.0mm、厚さ12.6mm)。30m防水。共に495万円(税込み)。
星武志:写真 Photographs by Takeshi Hoshi (estrellas)
鈴木裕之:取材・文 Text by Hiroyuki Suzuki
[クロノス日本版 2021年7月号 掲載記事]


次世代のアイコニックモチーフ「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」

 19世紀から続く長い歴史の中で、オーデマ ピゲが紡いできた過去と現在、そして未来。そのすべてを繋ぐ次世代のアイコニックモチーフとして2019年にデビューを飾った「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」(以下CODE 11.59)は、まったくのニューデザインにもかかわらず、すでにヒストリカルピースの風格を漂わせる。現代的な製造技術を複数組み合わせたことで、プロダクトの表情や質感は過去に例を見ないものに仕上がっているのだが、そこにどっしりとした安定感を感じるのは、アーカイブから抽出されたDNAが受け継がれているからに他ならない。昨年はバイカラーゴールドのケースと、スモークグラデーションのダイアルが追加され、より作品表現の幅が拡がった。そしてデビューから3シーズン目となる今年は、満を持してバイマテリアルのケースが投入されたのだ。18Kゴールドのベゼル、バックケースに挟み込まれるのは、ブラックセラミックスのミドルケースだ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
2020年に発表されたバイカラーゴールドケースの3針モデル。通常はアリゲーターストラップだが、写真はオプションのラバーストラップを装着してある。キャンバス調の質感が、表情を適度にカジュアルダウンしてくれる。自動巻き(Cal.4302)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KWG×18KPG(直径41.0mm、厚さ10.7mm)。30m防水。共に330万円(税込み)。別売ラバーストラップは共に6万4900円(税込み)。

 スケルトナイズのラグを一体化させたCODE 11.59のベゼルは、ダイアルの曲面に沿って緩やかな弧を描いている。完全なフィッティングを得るには、台座となるミドルケースもまったく同じ曲率を持つことが必須となるが、素材にセラミックスを用いる場合、それは容易なことではない。近年のファインセラミックスの焼結技術は、収縮率をかなりの精度でコントロールできるところまで進化しているが、それでも曲率までぴったりと合わせることは不可能だろう。オーデマピゲが選択した手法は、切削による追い加工。新たなパートナーとして迎え入れたのは、オーデマ ピゲと同様にスイスで家族経営を貫くバンゲーター社だ。タングステンなどの超硬素材の高精度切削を得意とするサプライヤーである。

 CODE 11.59に用いられるセラミックスの組成は企業秘密とされているが、酸化ジルコニウムと何らかのバインダーであることは変わらない。これを高圧で固めた後に5軸CNCで下加工を行い、約1400℃で焼結させる。この段階でバインダー成分が焼失し、硬度を得たミドルケースは、焼結前よりもかなり収縮している。この先はダイヤモンドツールでの面出しと表面仕上げ。側面に施されるサテン加工とアングラージュのポリッシュ加工は、下処理までは機械加工だが、最終仕上げはいずれも手作業だ。

 ブラックセラミックスのミドルケースが用いられるのは、新作のクロノグラフ。18KPGまたは18KWGと組み合わされるが、ダイアルカラーはスモークグレーのラッカーペイントで統一。ただし、昨年登場した同色とは下地処理が変えられている。ゴールドケース用は、ダイアルベースに目の細かなサンバースト状のサテン加工を施してから下地のシルバーメッキ。その上に半透明のライトスモークをかけて、ダークトーンのグラデーション吹きを施している。上塗りのザポンもかなり厚く、透明感のある表情から、あまり下地のサンバーストは主張を強めてこない。対して新作クロノグラフは、下地を縦ストライプのヘアラインに変更し、しかもかなり強めに入れている。逆にザポンは薄めなので、表情にはサテン目が強く印象に残る。ゴールドケースでは高級感を、ゴールド×セラミックスの新作ではスポーティーさを主張した仕上がりと言えるだろう。キャンバス調の表面加工が施されたラバーストラップも、ストリート感をより強調してくれるのだ。


CODE 11.59を生み出すファクトリーツアーを最新VRで体験

オーデマ ピゲ ファクトリーツアー

CODE 11.59をはじめ、さまざまなプロダクトを手掛けるオーデマ ピゲの本社工房。山深いスイス・ジュウ渓谷のル・ブラッシュにあるこのファクトリーには、伝統技術と最新のテクノロジーが共存している。行動が大きく制限される現状、旅の疑似体験を通じて、CODE 11.59の開発秘話や魅力に迫る。

会場:オーデマ ピゲ ブティック 銀座/東京都中央区6-5-13 B1F
上映時間:約5分30秒 
問い合わせ:オーデマ ピゲ Tel.03-6830-0788

・公式サイト
https://www.audemarspiguet.com
・日本特別コンテンツ
https://borninlebrassus.audemarspiguet.com


https://borninlebrassus.audemarspiguet.com/event01/


Contact info: オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000


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