【インタビュー】ウブロ CEO「リカルド・グアダルーペ」

多くのウォッチメーカーが打撃を受けた2020年。しかし、ウブロは好調だったようだ。その証拠に、本年は12時位置にホワイトゴールド製のマイクロローターを配した自動巻きトゥールビヨンを搭載した新しいスケルトンモデルを投入し、村上隆とのコラボレーションも実現させた。詳細を説明したのは、ウブロCEOのリカルド・グアダルーペだ。

ウブロの成長に必要なのはさらなる垂直統合

リカルド・グアダルーペ
ウブロCEO。1965年、スイス・ヌーシャテル生まれ。スイスのビジネススクールを経て、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）を卒業。帰国後、ブルガリでプロダクトマネージャーを務める。94年、ブランパンに入社。97年にはセールスとマーケティングのディレクターとなる。2004年、ウブロに参画。12年より現職。

「21年は1月から調子がいい。昨年は3月半ばに会社がシャットダウンしたが、以降盛り返した。世界的に見ると結果はポジティブだったと思う。製品でのイノベーションを行ってきたし、ムーブメントへの投資も続けてきた。新しい自動巻きトゥールビヨンが好例だろう。そして、デザインでは外部とのフュージョンも行った。村上隆とのコラボレーションは大成功だった」

　確かに、コロナ禍であろうがなかろうが、ウブロのスタンスは、例年と何も変わりがない。興味深いのは、女性用の〝小さな〞ビッグ・バンだ。他社がジェンダーレスの時計に取り組む中、ウブロはあえて33mmという小径の女性用をリリースした。

「女性用では新しいトレンドが起きている。具体的には小さなサイズだ。ビッグ・バンに採用したウブロ独自のワンクリックシステムは、ストラップを簡単に替えられる。これは女性用にも有用だろう。現在、ウブロに占める女性の割合は25%。これを30〜35%に増やしたいと思っている。夏に向けてプロモーションを行っていきたい」

　意外だったのは、eコマースへの取り組みが昨年ようやく始まったことだった。

「私たちは、ウブロの世界観を体験していただくため、リテーラーとブティックの違いは考えていない。リテーラーにおいても専用コーナーやショップインショップを設けていきたいし、ブティックの数も現在は115だが、150に増やしていきたい。しかし、コロナ禍で実際の店を開けられなくなったので、昨年1月にeコマースをスタートさせた。日本に比べて、欧米の国ではeコマースが強い。イギリスやアメリカだね。また中国には特別なモデルを投入した。現在の売り上げに占める割当は2%だが、今後増やしていきたい」

　万事に抜けのないウブロ。では今後は、どういう方向で行くのか。

「今後も、インテグレートされたマニュファクチュールであり続けなければならない。さらに、美観へのアプローチも続けていく必要がある。より垂直統合を推進すること。ウブロが成長するにはそれが重要だ」

　まったく隙を見せないグアダルーペのコメント。パンデミックの中でも、何ら戦略を変えず進化を続けるだけというのは、ウブロの革新的な強さの表れだろう。