パテック フィリップ「ノーチラス」の新作が初出品されることで注目を集めた、アンティコルムのモナコオークションの結果が発表された。その落札価格は41万6000ユーロ(バイヤーズプレミアム含む)、日本円で約5400万円(1ユーロ=129.82円、2021年7月22日現在、以下同)だ。落札予想価格を大幅に上回ったオリーブグリーンダイアルのノーチラスは、その価値が世界的に極めて高いことを証明した。
Text by Kouki Doi(Chronos-Japan)
2021年7月22日掲載記事
驚愕の落札価格
時計を専門とするオークションハウス「アンティコルム」が、2021年7月21日(水)に開催したオークション「IMPORTANT MODERN & VINTAGE MONACO AUCTION」の結果が発表された。そのオークションは、モナコ公国の有名な観光地、カジノ広場に位置する高級ホテル「オテル・ド・パリ・モンテカルロ」で開かれ、腕時計やクロックなど計433のアイテムが出品された。
中でも注目を集めたのが、オリーブグリーンダイアルを採用したパテック フィリップ「ノーチラス」の新作、Ref.5711/1A-014が出品されたことである。このニュースは7月17日にwebChronosでもお伝えしたが、多くの時計愛好家や投資家をザワつかせたに違いない。
https://www.webchronos.net/features/67756/
4月に開催されたウォッチズ & ワンダーズ ジュネーブ 2021において、ステンレススティール製の3針ノーチラスRef.5711/1Aの生産が2021年で終了されることが発表された。事実上、最後のRef.5711/1Aとなった本作は、落札予想価格を大幅に上回り、多くの時計業界関係者の期待を裏切らない驚くべき結果を叩き出した。
正規店やブティックで“買えない”時計の代表格が、パテック フィリップのノーチラスである。昨今のトレンドでもある、いわゆる“ラグジュアリースポーツウォッチ”の先駆けとなった時計のひとつで、ジェラルド・ジェンタによるデザインは、現在でも多くの人に支持されている。SSは今年で生産終了というアナウンスと、オリーブグリーンダイアルの採用で、時計愛好家の話題をさらった。自動巻き(Cal.26-330 S C)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(10-4時位置の径40mm、厚さ8.3mm)。12気圧防水。定価は401万5000円(税込み)だが、現在は極めて入手困難。
今回のオークションでの落札価格は41万6000ユーロ、日本円にして約5400万円(バイヤーズプレミアム:出品手数料を含む)である。開催前に掲示されていた落札予想価格は6万〜18万USドル、日本円で約660〜1980万円(1USドル=110.13円、2021年7月22日現在)だったことを考えれば、この結果がいかに驚異的なものであるかが分かる。
結果だけを見ていると思わず忘れてしまいがちだが、そもそも、このノーチラス Ref.5711/1A-014の定価は401万5000円(税込み)。驚愕の落札価格は、定価の13倍以上なのだ。ノーチラスをはじめとする、稀少な人気モデルの価格高騰は、もはやとどまるところを知らない。
オークションに出品されたすべてのアイテムは、アンティコルムの公式ホームページに掲載されているため、落札結果をチェックしてみてはいかがだろうか。
「アンティコルム」は1974年にスイスのジュネーブで創業した、時計を専門とするオークションハウスである。97年には独自の品質評価システムを採用し、市場で評価を得た。本拠地のジュネーブだけでなくニューヨークと香港でもオークションを開催しており、世界各国に支社を持つ。また、オークションの開催に加え、時計関連の書籍も発行している。
Contact info: アンティコルム https://www.antiquorum.swiss/
https://www.webchronos.net/news/62486/
https://www.webchronos.net/features/62366/
https://www.webchronos.net/features/67247/