今年、フルリエにマニュファクチュールを開設してから25周年を迎えたショパール。「ハッピーダイヤモンド」のメゾンに本格的な機械式時計は作れるのか、という時計関係者の疑問をよそに、今やLUCは、押しも押されもせぬコレクションへと成長を遂げた。その立役者となったのが、ショパール共同社長であるカール - フリードリッヒ・ショイフレだ。
[クロノス日本版 2021年9月号掲載記事]
私が最も誇りに思うのはマニュファクチュールが挑んできた〝冒険〟です
ショパール共同社長。1958年、ドイツ生まれ。15歳でスイスに移住し、ローザンヌのHEC経営大学院に入学。卒業後はショパールに入社。88年に「ミッレ ミリア」コレクションをスタートさせたほか、96年にはフルリエに工房を開設し、ショパールの自社製ムーブメントである「L.U.C」の製造も開始した。2015年には、18世紀に活躍した時計師の名を冠した新たなウォッチブランド「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」を設立した。
「1996年にショパール マニュファクチュールを開設した時、私の夢はウォッチメイキングの伝統を尊重する美的品質と先進技術を融合したムーブメントを製作し、C.O.S.C.とジュネーブ・シール、ふたつの認定を得ることでした」
以降、ショパールは、「LUC クロノ ワン」や「LUC フル ストライク」といった傑作を次々とコレクションに加えていった。これらの傑出した内容については、本誌で再三取り上げた通りである。
「これらの時計は過去25年間におけるメゾンの成功を代表するものですが、実のところショパール マニュファクチュールに関して私が最も誇りに思っているのは、これまでマニュファクチュールが挑んできた〝冒険〞そのものなのです。25年前、私と共にこの冒険を始めた人々が、今でもメゾンで活躍する姿を見ることこそが、私に大いなる満足感をもたらしてくれるのです」
確かに、LUCコレクションは大きな成功を収めた。では今後、どのような方向性に進化させていくのか?
「タイムレスなエレガンス、卓越したデザインなどは、男性だけのものではありません。洗練された機械式ムーブメントを求める女性の時計愛好者も増えており、LUCコレクションは、こうした目の肥えた女性たちにも、その魅力をアピールしています」
今年追加されたSSケースの「LUC QF ジュビリー」は、若い世代を意識したものだろう。とはいえ、彼はこう続ける。
「より完成度の高い時計を製造し、そのためにさらなる改革を行うというショパールの追究は現在も進行中です。技術革新に関しては、まだ課題が残されています」
そんなLUCの方向性をうかがわせるのが、2021年の新作だ。
「今年のウォッチズ&ワンダーズではメゾン初のジャンピングアワー搭載の『LUCクアトロ スピリット25』を発表しました。このモデルはオートオルロジュリーとメティエダールの融合であり、メゾンの創業者であるルイ-ユリス・ショパール作の懐中時計から着想を得たエナメル文字盤を採用しています。過去は常に現在と未来へと導くことを体現することであり、それが最善であることを私たちは認識しています」
ショパール マニュファクチュール開設25周年記念モデルは、約9日間のパワーリザーブを持つCal.L.U.C 98.01-Lにジャンピングアワーを加えた限定版である。傑出した仕上げに加えて、文字盤はインデックスやロゴを含めて本物のグラン・フー・エナメルだ。手巻き(Cal.L.U.C 98.06-L)。42石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約8日間。18Kエシカルローズゴールド(直径40mm、厚さ10.3mm)。50m防水。世界限定100本。562万1000円(税込み)。
https://www.webchronos.net/features/64411/
https://www.webchronos.net/comic/60124/
https://www.webchronos.net/features/62671/