自社ブランド「YEEZY」でも大成功を収めるカニエ・ウェストが着用するリシャール・ミルはこのモデル

世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回はヒップホップからスニーカーのデザインまで、さまざまな分野で活躍するカニエ・ウェストの着用するリシャール・ミルの時計を紹介する。

沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
2021年8月13日掲載記事


スニーカーのプロデュースでも才能を発揮するカニエ・ウェスト

カニエ・ウェスト

Photograph by Alessio Botticelli / Getty Images
2016年9月、ツアー期間中にニューヨークで撮影された写真。16年8月より開始された「ザ・セイント・パブロ・ツアー」では、観客の上をムービングステージで移動する、文字通り飛びながらのパフォーマンスで話題を呼んだ。しかし、22公演を残した状態でカニエ・ウェスト自身の健康と安全のためという理由で全公演がキャンセルされている。

 ヒップホップMCとしてだけでなく、音楽プロデューサーやファッションデザイナーなど、多方面で世界的な成功を収めているカニエ・ウェスト。ラグジュアリーブランドをストリートファッションとコーディネートするスタイルで絶大な支持を集めるファッションアイコンでもある彼が、2016年のツアーで着用していたリシャール・ミル「RM 010」に注目しよう。


リシャール・ミル「RM 010」

RM 010

 リシャール・ミルのRM 010は巻き上げを最適化するために、可変慣性モーメントローターを採用したモデルだ。このローターはローターに設けられたウェイトの位置を6つのポジションから選択することで、ローターの慣性を調整するというものである。

 例えば腕の動きが少ない人が着用する場合はウェイトの位置をローターの外周に近づければ、慣性モーメントは大きくなるため、ローターはより回り、結果として巻き上げ効率が高くなる。逆にスポーツなど、腕の振りが大きくなるような場面で着用することが多い人の場合は、ウェイトの位置を内側に近づけることで巻き上がりすぎないようにできるのだ。

RM 010

リシャール・ミル「RM 010」
自動巻き(Cal.RMAS7)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRG(縦48×横39.3mm、厚さ13.84mm)。50m防水。

 ウェイトの調整は時計師に依頼しなくてはならないが、ユーザーのライフスタイルによってパーソナライズできるユニークな機構になっている。

 カニエ・ウェストが着用するのはサテン仕上げの18KRGケースとブラックラバーのストラップを備えるモデルだ。リシャール・ミルの他モデルに比べるとシンプルな印象を与える。


自身のブランドを持ち、2024年の大統領選にも出馬意欲を示すカニエ・ウェスト

 ブルームバーグの報道によれば推定資産が約7200億円に達したとされるカニエ・ウェスト。その多くはアディダスとGAPの2社でスニーカーおよびアパレル事業を展開させている自身のブランド「YEEZY」の成功によるところが大きい。20年にGAPとの10年契約を締結させたというニュースが報道されれば、GAPの株価が40%上がるなど、その影響力の高さはアーティストの中でも随一だ。

 そんなさまざまな分野で成功を収めるカニエ・ウェストの時計コレクションはロレックスやパテック フィリップ、アップルウォッチと多岐にわたる。特にラグジュアリースポーツウォッチはお気に入りのジャンルのようで、彼がラグジュアリースポーツウォッチをカジュアルなスタイルに合わせて着用している姿は多く写真に納められており、またそのスタイリングが若者から支持を得て、今日の“ラグスポ”ブームを形成したとまで言われている。

 写真だと大柄な印象を与えるカニエ・ウェストだが、身長は173cmと一般的な日本人男性と大きく変わらない。しかし、放たれる存在感は計り知れないものがある。ちなみに最近のお気に入りはスカーフを頭から被り、完全に顔を隠すというスタイルだ(マスクとサングラスを兼用しているのかもしれない)。

 リシャール・ミルを着ける多くのセレブリティはキャラクターが確立されている。それだけ個性的な時計で、価格帯からも誰もが気軽に購入できる時計ではないことは明らかだ。時計が持つ雰囲気に負けないオーラが、独特のスタイルを完成させるのではないだろうか。このリシャール・ミルのRM 010は彼の持つ雰囲気や独自のキャラクターに寄り添っているように見える。YEEZYの運営やキム・カーダシアンと離婚協議、24年の大統領選への再出馬発言など、公私ともに多忙な日々を送るカニエ・ウエストの今後の言動と新たに新加わるであろう時計コレクションに引き続き注目したい。


グラフィカルでカラフルなリシャール・ミル「RM 07-01 オートマティックカラーセラミックス」

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