コレクションを4つに絞り、時計を分かりやすくカテゴライズしたモンブラン。2021年には、「ミネルバ」コレクションへの注力を明確にした。17年から、同社全体の舵取りをするのがニコラ・バレツキーである。
[クロノス日本版 2021年11月号掲載記事]
ミネルバへの注力とレザーアイテムに未来を見いだす
モンブラン インターナショナルCEO。1970年、フランス生まれ。HEC経営大学院を卒業後、シンガポールのカルティエでマーケティングディレクターとなる。本社の国際部門責任者を経て、2002年にジャガー・ルクルトへ転籍。13年にモンブランのセールス担当副社長に抜擢され、17年4月から現職。モンブランを筆記具の専門メーカーから、ライフスタイルブランドへと変貌させた立役者である。
「包括的でシンプルなラインナップとしたため、モンブランの時計製造部門は、顧客がすぐに識別できる、選ばれたヒーロー製品へのストーリーテリングに集中できるようになりました。そして、シグネチャーとなった『モンブラン 1858ジオスフェール』や女性向けの『モンブランボエム コレクション』といったヴィンテージに触発されたラインで驚くべき成功を収めました」。ヴィンテージとは、つまりミネルバのことである。
「独特のデザインやディテールによって、ミネルバの時計は、すぐに認識できるものとなっています。私たちの目標とは、時計愛好家やモンブランの顧客と共有できるような、革新的で創造的な方法を用いて、ミネルバという並外れた遺産を育み、維持していくことです。かつてのミネルバに触発されたストーリーはもちろん、一部のモデルは、過去のモデルに基づいて設計されたムーブメントを載せて、歴史的な時計を綿密に再現しています」。彼はこうも続ける。
「『タイムウォーカー』コレクションは発展的解消となり、スポーティーな要素は『モンブラン 1858』コレクションの一部に継承されました。ミネルバの遺産に触発された新しいモデル、新しいデザイン、創造性を探求していくエキサイティングな作業ですね」。そんなバレツキーはミネルバに加えて、他分野とのシナジーにも可能性を見いだそうとしている。
「当社の他の部門は、時計製造事業の成長にも貢献する可能性が高いと考えています」
彼が言う他部門のひとつが、近年モンブランが注力するレザーアイテムである。
「レザーグッズ事業は、モンブランをラグジュアリービジネスにおけるライフスタイルのメゾンとして確立させるための強力な柱となっています。最近、マルコ・トマセッタをレザー部門の新しいクリエイティブディレクターに任命しました。彼はメゾンの豊富なアーカイブからインスピレーションを得て、モンブランのコードを再解釈・再発見し、レザーカテゴリーをさらに魅力的なものにしていきます」。確かに、ストラップの重要性が増す中で、自社でレザー製品を作れるモンブランのアドバンテージは、今後ますます高まっていくに違いない。
ミネルバに続いて、次の成長ドライバーを見つけたモンブラン。そのシナジーが、どのようなかたちで表れるのかを、注視していくことにしたい。
1930年代の傑作を、サイズも含めて、ほぼ忠実に再現した新作。ムーブメントに施された手作業による仕上げを考えれば、価格は極めて戦略的だ。外装の素材にはモンブランが好むブロンズを採用する。手巻き(Cal.MB M16.29)。22石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約50時間。ブロンズ(直径46mm、厚さ14.5mm)。3気圧防水。世界限定100本。367万7300円(税込み)。
https://www.webchronos.net/features/63192/
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