Q:アブラアン-ルイ・ブレゲって何をやった人なの?
「時計の歴史を2世紀進めた」時計師と称されるアブラアン-ルイ・ブレゲ。彼はトゥールビヨン の発明や自動巻き機構の改良などを行いました。
A:数多くの機構の開発・改良を行った
時計好きならば一度は、アブラアン-ルイ・ブレゲ(1747~1823年)という名前を聞いたことがあるはずです。18世紀末〜19世紀初頭にかけて活躍した彼は、「時計の歴史を2世紀進めた」時計師とも言われています。にもかかわらず、何が彼の凄さなのかは意外に知られていません。彼の主だった業績は以下です。
・自動巻き機構の改良(1780年)
・ミニッツリピーターの改良(1783年)
・いわゆる「ブレゲ針」の発明(1783年)
・天真に付ける耐衝撃装置「パラシュート」の開発(1790年)
・いわゆる「ブレゲヒゲ」の発明(1795年)
・トゥールビヨンの発明(1795年、特許取得は1801年)
・盲人時計の発明(1799年)
・効率の高い脱進機の発明(1802年)
彼は薄いムーブメントを作り上げたアントワーヌ・レピーヌや、ピエール・ル・ロワなどのマリンクロノメーター製作者たちから影響を受けつつも、それに留まらないさまざまな機構を発明しました。ではなぜ彼だけが、毎年のように新しい発明に取り組めたのか。理由のひとつは、彼が人付き合いに巧みだったため、と言われています。色々な時計師たちと情報交換をすることで、ブレゲは新しい発明に対するアイデアを育んでいきました。また彼は、才能があったにもかかわらず生活に困窮していた、アンティード・ジャンヴィエに手を差し伸べました。こういった彼の性格が、多くの発明につながったのです。
個人ではなく工房を設立して設計に専念した
そしてもうひとつの工房が、個人ではなく、工房として時計を製造するようになったこと。彼は設計と発明に専念し、時計は時計師たちに製造させる。分業を進めることで、ブレゲは新しいアイデアを熟成させるだけの時間を得たのです。
もっとも、ブレゲの業績が改めて評価をされるようになったのは、20世紀に入ってからです。時計コレクターであるセシル・クラットンや、独立時計師のジョージ・ダニエルズが、彼の作品を細かく評価するようになりました。以降、さまざまな時計師たちが、ブレゲの手掛けたアイデアを、自らの時計に盛り込むようになりました。そのひとりが、独立時計師のフランソワ・ポール・ジュルヌです。時計の歴史を2世紀早めたブレゲは、今なお多くの時計師たちにとっての、インスピレーションの源であり続けています。
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