2021年夏、スイスの時計メーカー・ゼニスは、名機「A386」を現代に解釈し直した新しいモデルを発表した。直径38mmステンレススティール製クロノグラフ、コンマ1秒まで計測・表示できるコラムホイールを搭載した自動巻きエル・プリメロ・キャリバー、改良された約60時間パワーリザーブを備える「クロノマスター オリジナル」である。
2021年11月16日掲載記事
時計業界に影響を与えた象徴的なタイムピースのひとつであるゼニスの「A386」。A386は、世界初となる高振動の一体型自動巻きクロノグラフムーブメントである、エル・プリメロ キャリバーを搭載した最初のステンレススティール製ウォッチのひとつとして1969年に登場した。
ゼニスは、エル・プリメロ誕生50周年を記念してクロノマスター リバイバル コレクションにゴールドバージョンのA386を加えるなど、ゼニスを象徴する多くの歴史的なモデルに敬意を表してきた。一方で、ゼニスの永久的なコレクションの一部としてステンレススティール製の復刻版が登場することは、ゼニスのコレクターやクロノグラフ愛好家が待ち望んでいたことであった。
2021年、ゼニスはいよいよこの不朽の名作のクロノグラフを現代的に再解釈するだけでなく、さらに先進的な新モデルとして進化させた。5気圧防水を備えた直径38mmのステンレススティール「クロノマスター オリジナル」は、A386の独特で飽きのこないデザインを継承しつつ、1/10秒単位の精度と時間の計測という21世紀版エル・プリメロにふさわしい性能を備えている。
クロノマスター オリジナルとそのベースとなったA386は、一見するとほぼ同じに見える。直径38mmのラウンド型ベゼルレスステンレススティール製ケース、盛り上がったドーム型のサファイアクリスタル風防、ポンプ型のクロノグラフプッシャー、ファセット加工されたラグ、放射状に広がるブラッシュ仕上げとポリッシュ仕上げが混在した表面など、過去のモデルと現在のモデルの見分けはつきにくい。
A386のデザインで最も特徴的なのは、間違いなく文字盤である。グレーとブルーを基調としたトリコロールのクロノグラフレジスター、4時半位置の台形の日付窓、赤いクロノグラフ秒針などの独特な表現で仕上げられている。
これら全てがクロノマスター オリジナルに現代的な更新が加えられながら引き継がれているのだ。例えばA386の文字盤を囲むブラックインナースケールは、かつては1/100の時間分割システムで作業時間を計算するために使われていたが、クロノマスター オリジナルでは、1/10秒のクロノグラフ針が10秒で文字盤を一周し、合計100の計測可能な時間単位になるという新たな用途が生まれた。文字盤の外周部にあったタキメータースケールは、1/10秒計測のクロノグラフスケールを採用し、1秒単位の正確な経過時間の計測と読み取りを可能にした。また、瞬時に1/10秒を精確に読み取るため、オリジナルのA386で使用されていたパドル型秒針は、レッドラッカー仕上げの直線的な針に変更された。ロゴも、現在のゼニスが使用している現代的な字体にアップデートされている。
クロノマスター オリジナルには、エル・プリメロ キャリバーの最新版、エル・プリメロ3600が搭載されている。振動数は5Hz(毎時3万6000振動)で、このムーブメントは1/10秒を非常に精確に計測することができる。
持続時間にも改良が施され、約60時間のパワーリザーブを実現した。サファイアクリスタル製ケースバックからは、ブルーのコラムホイールや、ゼニススターがあしらわれたオープンローターなどデザインの新しい構造をはっきりと見ることができる。
クロノマスター オリジナルはA386のレガシーを引き継ぐだけでなく、ゼニスの絶え間ない精度への追求を通して、模範となる性能の基準を新たに確立している。
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