カルティエの新作に搭載されたソーラー発電は何がすごいのか？

Q：カルティエの「タンク マスト」が載せた光発電ムーブメント、何が新しいんですか？

これまでの光発電ムーブメント搭載機と異なり、文字盤をポリカーボネートではなく、金属で作ったところです。

A：金属文字盤でかつてない高級感を実現した光発電モデル

　2021年にカルティエが発表した「タンク マスト」。その中でも、特に注目を集めたのが、光発電のソーラービート™️ムーブメントを載せたモデルです。日本のメーカーが得意としてきた、光発電で動くクォーツ時計。カルティエが大きな注目を集めたのは、文字盤がこれまでの光発電モデルとは違っていたからなのです。

ほとんどの光発電時計は、外部の光を、文字盤下にある太陽電池に貯めて、それを動力源として時計を駆動させます。光を通さなければならないため、文字盤の素材は、ポリカーボネートやサファイアクリスタルといった透明なものに限られます。高額なモデルであれば、ほぼ金属製の文字盤と変わらない見た目となりましたが、一般的に光発電時計の文字盤は、金属製のそれとは少し質感が違います。ザ・シチズンやカンパノラをのぞいて、高額な光発電時計が存在しなかった理由です。

対してカルティエは、時間を示すインデックスの部分に穴を開け、そこから外部の光を取り込むようにしました。文字盤はポリカーボネートではなく金属製。そのため、タンク マストの見た目は、普通のモデルとほぼ違いがありません。エコというだけでなく、高級時計らしい質感を盛り込むことに成功した「タンク マスト」ソーラービート™️。インデックスが太いタンクならではのユニークな解決策ですが、今後、真似をするメーカーは増えてきそうです。