IWCのコレクションの中でも、最も人気を集めるモデルが「ポルトギーゼ」だ。数多くの魅力を備えており、新旧問わずどのモデルも時計愛好家から高い評価を受けている。ポルトギーゼの歴史や特徴を知り、定番モデルをチェックしていこう。
IWCの「ポルトギーゼ」を知ろう
IWCの名品「ポルトギーゼ」は、どのような背景から誕生した時計なのだろうか。コレクション名の由来やポルトギーゼの歴史を見ていこう。
コレクション名の由来
ポルトギーゼの誕生は、1939年にふたりのポルトガル商人がIWCに時計製造を依頼したことがきっかけである。依頼内容は「マリンクロノメーターに匹敵する腕時計が欲しい」というものであった。
マリンクロノメーターとは高い精度を誇る航海用時計のことだ。IWCは懐中時計のムーブメントを組み込み、ポルトガル商人の要望に応えてみせた。
ポルトギーゼ(PORTUGUESE)という名前は、「ポルトガル人」を意味する。
ポルトギーゼの歴史
高い精度を発揮するために懐中時計のムーブメントを採用したポルトギーゼは、ケース径41.5mmと、当時としてはかなり大型に仕上がった。
一方、IWCは同時期に、パイロットウォッチも開発していた。こちらも大ぶりなケースに懐中時計用ムーブメントを搭載していたが、飛行中でも視認性を確保する大きなアラビアンインデックスや太い針が特徴であった。
同時期のパイロットウォッチと比べたら、ポルトギーゼは高い精度を実現しながら、ドレッシーなデザインを持たせた時計だとわかるだろう。
ポルトギーゼはそのケース径の大きさのためか、発表当時はあまり評価されなかったという。世の中の時計好きの人気を獲得したのは1993年に復刻されてからだった。
以降、ポルトギーゼは力強さと洗練されたデザインを併せ持つモデルとして評価を高めていった。現在はブランドのフラッグシップコレクションとしての地位を築いている。
IWC ポルトギーゼが評価される理由
ポルトギーゼが多くの人を魅了する理由としては、主に以下の4つが挙げられる。
普遍性の中に光るオリジナリティー
ポルトギーゼが評価される理由のひとつに、普遍的なディテールを持ちながら随所にオリジナリティーをちりばめていることが挙げられる。
それぞれのディテールはそれぞれ控えめだが、その結果、上品な個性を持った顔立ちとなっている。数十年先もスタンダードになり得る普遍性を備えているといえよう。
ポケットウォッチに由来する大型ムーブメントは、ポルトギーゼにおける大きなオリジナリティーだ。
クラシカルなデザイン性
初代モデルの様式を継承するクラシカルなデザイン性も、ポルトギーゼの大きな魅力のひとつだ。
大型ケースやスリムなリーフ針、丸みのあるアラビアンインデックスが、それぞれ絶妙なバランスを保ちながら時計の視認性を高めている。
華美な装飾を施していない点も、ポルトギーゼのデザイン性を高めている要素といえるだろう。過度な主張を抑えることで、より無駄がなく洗練されたデザインとなっている。
作り込まれた薄型ケース
ポルトギーゼのケースは大型ながら、薄いことが特徴だ。薄型ケースを採用した背景には、軍用パイロットウォッチとの差別化を図った明確な意図が見て取れる。現在のパイロットコレクションと比べても、ポルトギーゼはかなり薄型である。
また、引き絞ったスリムなベゼルも品の良さの理由。ケースめいっぱいの文字盤に対し、ムーブメントはすき間なく収められている。
バリエーションの豊かさ
豊富なバリエーションが用意されていることも、ポルトギーゼの魅力である。シンプルな3針タイプからコンプリケーションモデルまで、幅広いラインナップから選択可能だ。
複雑機構が組み込まれたモデルでも、文字盤のデザインがシンプルであるため視認性の高さは保たれている。金針と青針の違いで表情が変わる点も特徴的だ。
コンプリケーションモデルは、クロノグラフタイプとカレンダータイプに大別される。