高級腕時計ブランドが手掛けるスポーツウォッチ。ラグジュアリースポーツウォッチはじめ、人気のジャンルだけあり、さまざまなブランドがこのスポーツウォッチに属するモデルを多彩にラインナップしている。どれが良いか迷った時、ヴァシュロン・コンスタンタンの「オーヴァーシーズ」を選択肢に入れてみてはいかがだろうか? 本記事では、このオーヴァーシーズについて深掘りしていく。
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズの歴史
ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズは、どのような歴史を持つ時計なのだろうか。原型となった「Ref.222」が誕生した背景と併せて、モデルの歴史を紹介する。
オーヴァーシーズの誕生
初代オーヴァーシーズが発表されたのは、1996年のことである。原型であるRef.222のデザインや機能性を引き継ぐ形で誕生した。
Ref.222は1977年にブランドの創立222周年記念モデルとして、222本限定で製造された時計だ。実用性を重視した設計は、オーヴァーシーズにもつながるコンセプトである。
それまでのヴァシュロン・コンスタンタンにはない新しい価値観を備えたRef.222は、限定生産ながら高い評価を得た。その後、後継機として誕生したオーヴァーシーズは、ブランドのレギュラーコレクションとして不動の地位を築くことになる。
オーヴァーシーズの原型「Ref.222」とは
Ref.222が誕生した背景には、業界を大きく揺るがした1970年代のクォーツ革命がある。クォーツ時計の台頭により高級機械式時計はシェアを奪われ、多くのブランドが休止や倒産に追い込まれた。
この状況に対抗するために開発されたのがRef.222。ヴァシュロン・コンスタンタンが製作した初めてのスポーツウォッチである。
ヴァシュロン・コンスタンタンと並んで雲上ブランドと呼ばれるオーデマ ピゲやパテック フィリップも、それぞれ「ロイヤル オーク」と「ノーチラス」というスポーツモデルを同時期に発表した。
なお、オーヴァーシーズを含めた薄型の高級スポーツウォッチはラグジュアリースポーツウォッチ、“ラグスポ”と呼ばれることもあり、今や一大ジャンルとしての地位を確立している。
年式によるディティールの違い
1996年の第1世代モデル誕生以降、オーヴァーシーズは2回のモデルチェンジを行っている。世代によるディテールの違いを見ていこう。
「1996年」第1世代 37mmモデル
Ref.222はその後、1984年に「Ref.333」を、1989年に「フィディアス」を発表して進化を遂げていった。オーヴァーシーズの第1世代は、Ref.222の特徴を残しながらもフィディアスの意匠を色濃く継承している。
ベゼルに配されたブランドのシンボル「マルタ十字」やコインエッジのデザインが、第1世代の大きな特徴だ。
フィディアスの要素は残しつつも実用性を高めている上、よりスポーティーなデザインとなっている。ケースは37mmのラージサイズの他に、35mmのミディアムサイズも展開していた。
「2004年」第2世代 42mmモデル
2004年に発表されたオーヴァーシーズの第2世代は、ケースサイズが42mmと大型化。ブレスレットにもマルタ十字がデザインされ、より大胆な時計へと進化した。
第2世代では、ヴァシュロン・コンスタンタンが得意とする複雑機構を積極的に組み込み、クロノグラフだけでなく、デュアルタイム機能やカレンダー機能も追加された。
ストラップの素材にレザーやラバーが追加されたのも、第2世代からだ。スポーティーかつ洗練されたデザインで知名度を上げ、生産が終了した現在でも高い人気を誇っている。
「2016年」第3世代 41mmモデル
アイコニックなデザインはそのままに、流麗なプロポーションへとブラッシュアップした現行の第3世代。写真はスタンダードな3針モデルの「オーヴァーシーズ・オートマティック」だ。自動巻き(Cal.5100)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径41mm、厚さ10.69mm)。15気圧防水。371万8000円(税込み)。
2016年に誕生した現行の第3世代モデルは、ベゼルを8葉から6葉に変えるという大胆なデザイン変更が行われた。ケースはより丸みを帯び、優美なフォルムとなった。
ケースサイズも42mmから41mmとなり、市場のニーズに細かくアジャストされている。また、シースルーバックとなり、ムーブメントの鑑賞も可能となった。
第3世代で新たに組み込まれたワールドタイムは、時計の中で時差を計算し滞在中の地域の時刻を表示させられる機能だ。ブレスレットにはインターチェンジャブル式を採用し、より簡単にストラップの交換が行えるように進化している。